部門ごとに導入したシステムにおけるデータのサイロ化や、データ活用による業務効率化に悩む企業が増えています。
こうした課題を解決する取り組みとして「システム統合」が有効ですが、実際の進め方までは知らないという方も多いのではないでしょうか?
本記事では、システム統合の基礎知識から具体的な進め方まで解説します。システム統合を進める際の注意点もご紹介しているので、システム統合の進め方に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
システム統合はどんなときに必要?
システム統合が必要になる場面は、企業の成長段階や課題によってさまざまですが、主に以下のようなケースで検討されます。
- M&A
 会社ごとに運用していた複数のシステムをひとつにまとめる必要がある。
- DX推進
 迅速な意思決定などを目的に、データの一元管理を行う必要がある。
- データのサイロ化
 業務効率化を目的としたクラウドシステム導入が各部門で増えた結果、データを各部門で保有するようになり、データの管理が難しくなった。
システム統合の基本をチェック
システム統合の進め方を正しく理解する前に、まずはシステム統合の基本的な考え方を押さえておくことが大切です。システム統合の基礎知識、メリット、そして直面しやすい課題を順番に解説します。
システム統合の基礎知識
「システム統合」とは、複数のシステムを一本化したり異なるシステム同士を連携したりすることで、業務効率の向上やデータの一元管理を実現する取り組みです。
システム統合の方法は、大きく分けて以下の3つがあります。
- 新しい統合システムを開発し、既存システムを移行する
- いずれかの既存システムに集約する
- 既存システムのデータを連携し、システム統合をする
昨今は、3つめの「データ連携」によるシステム統合が注目を集めています。
データ連携の手法としては「iPaaS(Integration Platform as a Service)」と呼ばれるクラウド型の連携プラットフォームを活用することで、既存のシステムを活かした柔軟な統合の実現を目指せます。
システム統合のメリット
システム統合がもたらすメリットは多岐にわたります。おもに、以下の3つがシステム統合のメリットとしてあげられます。
- より戦略的な経営を目指せる
 システム統合により、経営層は全社の状況をより把握しやすくなるため、正確なデータに基づいた意思決定を行えるようになります。
- データの一元管理ができる
 システム統合により、各システムにそれぞれ分断されていたデータを正規化されたデータとして管理できるため、全社共通のデータとして扱えるようになります。
- システム管理の負担軽減につながる
 システム統合により、これまでデータの正規化に必要だった作業が省力化されるため、結果的にシステム管理の負担軽減につながります。
システム統合の課題
メリットが多い一方で、システム統合にはいくつか課題もあります。システム統合のよくある課題としては、以下の5つがあげられます。
- 初期コストが高い
 新しいシステムの開発費用や既存システムからのデータ移行費用、カスタマイズ費用など、システム統合にはさまざまなコストが発生します。
- 想定外のコストが発生する可能性がある
 要件定義の際に考慮されていなかった変更がシステム統合の着手後に生じた場合、想定外のコストが発生するなど予算不足に陥るリスクがあります。
- システムの仕様を正確に把握できない
 長年運用しているレガシーシステムは、担当者の不在などにより仕様が明文化されていない可能性があり、システム統合に向けた要件定義が難しくなります。
- 業務効率が低下するリスクがある
 新旧システムの切り替えや並行稼働時など、システム統合の過程において一時的に業務効率が低下する可能性があります。
- 蓄積されたデータの移行が難しい
 これまで蓄積してきたデータについて、同一データが複数のシステムに散在していると「削除する・残す」の判断が難しくなるため、どう扱うかを事前に定めることが重要です。
システム統合の方法
システム統合を実現する方法としては「新しい統合システムを開発し既存システムを移行する」「いずれかの既存システムに集約する」「データを連携しシステム統合する」の3つがあります。
それぞれの特徴を理解し、自社に最適なシステム統合の方法を選択しましょう。
新しい統合システムを開発し既存システムを移行する
既存のシステムを廃止し、新しくシステムを開発・既存システムを移行する方法です。将来の事業戦略を考慮したシステム開発ができます。
ただし、一からのシステム開発は時間がかかり、開発費用も膨らむ可能性があるため注意が必要です。
いずれかの既存システムに集約する
既存のシステムの中から、自社の要件にあわせてひとつのシステムへ集約する進め方です。
すでに導入しているシステムを活用できるため、新規でシステム開発を行う場合と比べて、開発費用を抑えやすいといった特徴があります。
一方で、システム統合の要件によっては、集約するシステムに機能追加やカスタマイズが必要になる可能性があります。
データを連携しシステム統合する
既存システムをそのまま利用しながら、統合するためのデータ基盤を用意してデータを連携する方法です。
データの連携は、システムの開発費用や期間を抑えつつ、スモールスタートでシステム統合を進めたい場合に適しています。
とくにクラウド型の連携基盤である「iPaaS」を活用すれば、用意されたコネクタやテンプレートを使って、比較的スムーズにシステム間のデータ連携を実現できます。
システム統合の進め方【4STEP】
ここからは、具体的なシステム統合の進め方を4STEPに分けて解説します。システム統合にともなうリスクを最小限に抑えるためにも、進め方の要点を確認していきましょう。
システム統合には【データ連携】がおすすめ!
システム統合にはさまざまな方法がありますが、費用や期間を抑えながら進めていける「データ連携」は、多くの企業において最も現実的な選択肢といえるでしょう。
ここからは、データ連携によるシステム統合の進め方4STEPの「現状調査・要件定義」「データ連携ツール(iPaaS)の選定」「PoC」「導入・社内展開」をそれぞれくわしく解説していきます。
当社は設立から40年分のITノウハウを蓄積しており、webMethodsなどのiPaaSをはじめ、システム連携の支援実績があります。システム統合でお悩みの方は、ぜひ当社へご相談ください。
STEP1:現状調査・要件定義
まずは、現状調査が欠かせません。統合したい既存システムの洗い出しと各システム間のデータの流れを整理しましょう。
システム統合の要件定義では、各システムの統合手順など必要不可欠な要件を具体的に定めることが重要です。
STEP2:データ連携ツール(iPaaS)の選定
STEP1の現状調査や要件定義をもとに、データ連携ツール(iPaaS)を選定しましょう。自社の要件にあったiPaaSツールを広く調査し、複数検討することが重要です。
多くのiPaaS製品は、よく使われる連携業務をあらかじめテンプレートとして準備しています。そのため、既存のシステムの連携を想定し、テンプレートの有無を確認しておくことが重要です。
STEP3:PoC
候補となるデータ連携ツール(iPaaS)が決まったら、PoCへと進みましょう。PoCを行う際は、選んだツールが自社の要件を実現できるかどうかを確認することが重要です。
もしPoCで思うような結果がでなかった場合は、データ連携ツールを再度選定し、検討する必要があります。
STEP4:導入・社内展開
PoCで一定の成果が見えたら、本番環境への導入を進めましょう。まずは影響範囲の小さいデータ連携から、段階的に開始するのが安全です。
一度にすべてを切り替えるのではなく、フェーズを分けて社内展開を進めることでシステム統合失敗のリスクを回避できます。
【データ連携】でシステム統合を進めるコツ
データ連携によるシステム統合を成功させるためには、スケジュールに余裕を持って段階的に移行することが重要です。それでは最後に、データ統合で無理なくシステム統合を進めるコツを解説します。
段階的に移行する
iPaaSであっても、全社で利用しているシステムを一気に統合・連携するのはリスクが高く、障害が発生した際に現場が混乱しやすくなります。
そのため、まずは影響範囲の小さい連携から着手する「スモールスタート」で検証から展開の順に進めるのが安全です。
例として、最初は1日1回の簡単なデータ連携などで結果を確認し、問題がなければ連携回数や対象システムを段階的に拡大していきます。
スケジュールに余裕を持つ
システム統合作業は、予想以上に時間がかかることがあります。タイトなスケジュールで進めると、問題が発生したときに十分な対応時間が取れない可能性あるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。
とくに、年度末や決算時期などの繁忙期にテストや機能リリースをするのは避けるべきです。システム統合時は一時的に業務効率が低下する可能性があるため、繁忙期を外した時期に実施するなど、各部門の業務への影響を最小限に抑えましょう。
ITベンダーの選定も重要
自社と近い業種・規模の企業で稼働した実績のあるiPaaSであれば、導入効果や実際の利用シーンを想像しやすくなります。
また、iPaaSツールの選定だけでなく導入を行うITベンダーの選定も重要です。iPaaSの導入を数多く手がけているベンダーであれば、過去の実績をもとに具体的な導入スケジュールや導入の費用感、導入効果などを相談できます。
当社は設立から40年分のITノウハウを蓄積しており、webMethodsなどのiPaaSをはじめ、システム連携の支援実績があります。システム統合におけるツールやベンダー選定でお悩みの方は、ぜひ当社へご相談ください。
まとめ
システム統合は、M&Aや事業拡大、DX推進など、企業の成長や変革において避けて通れない重要な取り組みです。
実際にシステムを統合する方法としては「新しい統合システムを開発し既存システムを移行する」「いずれかの既存システムに集約する」「データを連携しシステム統合する」の3つがありますが、コストとリスクのバランスを考えると、データ連携による統合が最も現実的な選択肢といえるでしょう。
iPaaSツールを活用したシステム連携の進め方は、現状調査・要件定義、ツール選定、PoC、導入・社内展開の4STEPで着実に進めることが成功の鍵です。
自社にあったツールやベンダーを活用し、システム統合基盤をしっかり整えることで業務効率の向上を目指しましょう。
 
					         
                     
                          