システム統合にまつわる課題【5選】を解説!背景・具体的な統合方法など基本まとめ

企業の成長や事業拡大、組織再編などにともない、複数のシステムをひとつにまとめる「システム統合」の必要性が高まっています。

本記事では、システム統合が必要になる背景や課題だけでなく、具体的な統合方法について解説します。システム統合の基本を知りたい方や、システム統合を検討されている方はぜひご覧ください。

システム統合とは?

「システム統合」とは、企業内で稼働している複数のシステムを一本化することや、異なるシステムを相互に連携することを指します。

別々に管理されていた販売管理システムや在庫管理システム、顧客管理システムなどを統合することで、データの一元管理や業務効率化を実現します。

昨今のシステム統合においては、クラウドを利用した柔軟なデータ連携ができるiPaaS(Integration Platform as a Service)が注目されています。

システム統合が必要となる背景

企業がシステム統合を検討する理由としては、「M&A」「データのサイロ化」「DX推進」があげられます。まずは、システム統合が必要となる3つの主要な背景について詳しく見ていきましょう。

M&A

M&A後は、それぞれの企業で使用している同じようなシステムを統合する必要があります。

例として2社が経営統合した場合、両社が異なる会計システムや人事システムを利用していると、経営判断に必要なデータを分析するには両システムからデータを抽出・加工・統合といった過程が必要になり、非常に工数がかかります。

そのため、効率的な経営を実現するためには、システム統合が欠かせません。

M&A後のシナジー効果を早期に創出するためにも、システム統合は優先度の高い課題として位置づけられています。

データのサイロ化

部門ごとに異なるシステムを使用している場合は、各部門でデータが蓄積され、その部門でしか利用できないデータとなる場合が多いです。こういった各部門で独立したデータがあることを「データのサイロ化」といいます。

そのため、企業全体での業務効率向上を実現するためにも、データのサイロ化が起こっている場合は、サイロ化したデータを連携させシステム統合するなどの対策が必要となります。

DX推進

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、多くの企業にとって重要な経営課題となっています。DX推進を実現するには、全社的にデータを活用できる基盤づくりが欠かせません。

そのため、各システムが保有するデータを連携・統合し、活用できる環境へと構築する「システム統合」が重要視されています。

システム統合のメリット

システム統合をすることで「データの一元管理ができる」「システム管理の負担軽減につながる」「より戦略的な経営を目指せる」といったメリットにつながります。主なメリット3つについて、ひとつずつ見ていきましょう。

データの一元管理ができる

システム統合によって複数システムに分散したデータが正規化され、一元管理できるようになります。その一元管理されたデータは、全社共通のデータとして活用や分析が可能になります。

より戦略的な経営を目指せる

システム統合によりデータを部門横断する形で活用できるため、経営層は全社の状況をより把握しやすくなります。

また、正確なデータに基づいた最適な意思決定を行えるため、新規事業の立ち上げや既存事業の改善といった戦略的な経営を目指せます。

システム管理の負担軽減につながる

管理しているシステムの種類が多いほど、データの正規化作業に工数がかかります。

システム統合により、これまで必要だったこうした正規化作業を省力化できるため、関連部門の負担の軽減につながります。

システム統合にまつわる課題【5選】

システム統合には多くのメリットがある一方で、実施する際には様々な課題があります。ここからは、システム統合にまつわる5つの課題について詳しく解説します。

課題①初期コストが高い

システム統合は、初期投資が大きくなりがちです。新しいシステムの開発費用やライセンス費用、既存システムからのデータ移行費用など、さまざまなコストが発生します。

とくに大規模なシステム統合では、数千万円から数億円規模の投資が必要になることも珍しくありません。

場合によっては、プロジェクト管理や外部コンサルタントへの委託費用なども加わるため、まずは初期に発生する予算を確保することがシステム統合において大きな課題となります。

課題②想定外のコストが発生する可能性がある

システム統合の要件が明確でなく、着手後に新たな要件や追加開発が必要となった場合、想定外のコストが発生する可能性があり、システム統合プロジェクトの途中で予算不足に陥るリスクがあります。

課題③システムの仕様を正確に把握できない

長年運用されてきたシステムは、開発担当者が既に異動・退職していることが多く、システムの仕様が明文化されていない場合があります。

こうした際は、システム統合に必要な機能が把握できず調査からの開始となるため、追加で工数が必要となり、システム統合の難易度が上がる傾向にあります。

課題④業務効率が低下するリスクがある

システム統合の過程では、新旧システムの切り替えや並行稼働などによって、一時的に業務効率が低下する可能性があります。

統合したシステムを社内展開する際には、全従業員が新しいシステムの操作を覚える必要があります。新システムに慣れるまでには時間がかかるため、その間は操作に手間取ったりミスが増えたりします。

課題⑤既存データの移行が難しい

複数のシステムを統合する際、これまで蓄積されてきたデータをどう扱うかは重要な課題です。

例として、同じ顧客データを異なるシステムで保存している場合、正規化を見すえてどのデータを残すのか判断する必要があります。

すべての既存データを移行するとコストが膨大になる一方、データを削減すると将来の分析に支障をきたす可能性があります。

システムを統合する方法

システム統合を行う際は、自社の要件や課題に応じて適切な方法を選択することが重要です。

それでは最後に、代表的なシステム統合方法である「新しい統合システムを開発し既存システムを移行する」「いずれかの既存システムに集約する」「データを連携しシステム統合する」の3つのパターンについて、それぞれ詳しく解説します。

新しい統合システムを開発し既存システムを移行する

既存の複数システムを廃止し、全く新しいシステムを開発する方法です。現在の業務に対応するだけでなく、将来の成長戦略を見すえてシステム開発できます。

ただし、一からの開発となると、開発期間が長くなったり開発コストが高くなったりする可能性があるため、注意が必要です。

いずれかの既存システムに集約する

複数の既存システムを、ひとつのシステムに集約する方法です。

すでに導入済みの既存システムを利用するため、新たにシステムを開発する方法と比較して、開発コストを減らせるといった特徴があります。

ただし、システム統合の要件によっては、データ移行に想定以上のコストがかかったり、既存システムにカスタマイズや機能追加が必要になったりする場合があります。

データを連携しシステムを統合する

それぞれのシステムを従来どおり利用しつつ、データを連携できる基盤を用意してデータを連携する方法です。データ連携による統合は、費用や開発期間を抑えながらスモールスタートでシステム統合を進めたいという場合に向いています。

クラウド型のデータ連携基盤である「iPaaS」などのツールを活用することで、比較的簡単にシステム間のデータ連携を実現できます。

当社は設立から40年分のITノウハウを蓄積しており、webMethodsなどのiPaaSをはじめ、システムやデータ連携の支援実績があります。システム統合やデータ連携でお悩みの方は、ぜひ当社へご相談ください。

まとめ

システム統合は、M&Aやデータのサイロ化、DX推進といった経営課題に対応するために不可欠な取り組みです。

システム統合を行うことで、データの一元管理やシステム管理の負担軽減など多くのメリットが期待できます。一方で、初期コストの高さや想定外のコスト発生、データ移行の複雑さといった課題にも注意が必要です。

自社の要件にあったシステム統合の方法を選定し、統合後のシステムの安定稼働データ活用の最適化を実現しましょう。

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