「保守切れ」のシステムをそのまま使っていませんか?コスト削減を理由に保守切れを見過ごしていると、ある日突然システムが停止するリスクがあります。このような状態に陥ると、業務が完全に麻痺してしまい企業にとって大きな損害に繋がる可能性があります。
本記事では、保守切れの基本的な概念から、発生するリスク、具体的な対応方法まで詳しく解説します。保守期限の管理方法や、コストを抑えながら安全にシステムを運用する方法もご紹介しますので、IT担当者の方はぜひ参考にしてください。
【まず基本】システムの保守切れとは?
保守切れとは、ハードウェアやソフトウェアのメーカーサポートが終了し、修理や技術支援を受けられなくなる状態を指します。企業のシステム運用において避けては通れない課題であり、適切な対応が求められます。
システム保守の基本
そもそも、なぜ企業はシステムの保守契約を結ぶのでしょうか。システムは企業の業務を支える重要な基盤ですが、どんなに高品質な製品でも使用を続ければ必ず劣化や故障のリスクが生じます。こうしたリスクに対応し、安定した運用を続けるために必要となるのがシステム保守です。このシステム保守は、主に製品を開発・販売したメーカーやシステム導入を主導したベンダーが提供します。
システム保守の主なサポート内容は以下のとおりです。
- ハードウェアの修理・部品交換:サーバーやネットワーク機器の故障時に、専門技術者が対応
- ソフトウェアのアップデート:OSやアプリケーションの更新プログラムを適用
- 技術サポート:トラブル発生時に、専門的なアドバイスを受けられる
- 定期点検サービス:システムの健全性を維持するための予防保守を実施
システムの保守切れが起こる背景
ではなぜ、システムの保守切れが起こってしまうのでしょうか。ハードウェア、ソフトウェアの両面からみていきましょう。
ハードウェアの保守切れ
ハードウェアの保守期限は、機器の寿命と後継製品の供給サイクルに左右されます。サーバーやネットワーク機器は通常5〜10年の使用を想定して設計されていますが、メーカーは新製品開発に注力するため、古い製品の部品在庫を永続的に保持できません。
修理用部品の生産終了や、旧機種に精通した技術者の確保困難により、保守サービスの提供が不可能になります。特に後継機種が発売されなくなると、企業は互換性の問題を抱えながら、新しい機器への移行を迫られることになります。
ソフトウェアの保守切れ
ソフトウェアの保守切れとは、OSやアプリケーションの開発元からのサポートが終了することを指します。これは「EOL(End of Life)」とも呼ばれ、セキュリティパッチの提供や技術的な問い合わせへの対応が受けられなくなる状態です。ハードウェアと同様に製品リリースから一定期間(一般的に5〜10年)で保守が終了します。
保守切れしたシステムを使い続けるリスク
保守切れのシステムを継続使用することは、企業に多大なリスクをもたらします。コスト削減のために保守切れを放置すると、結果的により大きな損失を招く可能性があります。
データ消失やビジネス停止などのリスク
ハードウェアの保守切れで起きる最も深刻なリスクは、突発的な故障によるデータ消失です。業務に必要なデータが消失してしまうとビジネス停止につながり、企業にとって大きな損失となりかねません。
セキュリティ脆弱性増加のリスク
保守切れしたソフトウェアは、セキュリティパッチが提供されないため、サイバー攻撃の標的になりやすくなります。最新のセキュリティ脅威に対して無防備な状態となり、情報漏洩やランサムウェア被害のリスクが格段に高まります。
すべてのトラブルを自社で対応するリスク
保守契約がない状態では、発生するトラブルをすべて自社で解決しなければなりません。トラブル対応のノウハウが社内に蓄積されていない場合、問題解決までに膨大な時間を要します。これにより人材や時間、コストといったリソースが膨大に消費されるリスクが生じます。
システムの保守切れが発生した時の対策方法
保守切れが迫っている、または既に発生している場合、速やかな対応が必要です。企業の状況に応じて、最適な対策を選択することが重要となります。
保守の延長を依頼する
メーカーによっては、標準の保守期限を過ぎても、延長保守サービスを提供している場合があります。追加費用は発生しますが、システムの安定稼働を継続できる有効な選択肢です。
延長保守を依頼する際は、以下の点を確認しておきましょう。
- 延長可能期間:通常1〜3年程度の延長が可能ですが、メーカーにより異なる
- サービス内容の変更:標準保守と比べて、対応時間や修理範囲が制限される場合がある
- 費用の増加率:年々保守費用が上昇するケースが多く、予算計画に注意が必要
システムのリプレイスを検討する
保守切れを機に、最新のシステムへ移行することも選択肢のひとつです。初期投資は必要ですが、長期的にはコスト削減と業務効率化が期待できます。オンプレミスで運用している場合は、クラウドへ移行することで保守の負担を大幅に軽減することができます。また、最新技術の導入により、セキュリティ強化や運用効率の向上も同時に実現できます。
システム保守切れを未然に防ぐためのポイント
保守切れによるトラブルを回避するには、事前の準備と計画的な対応が不可欠です。以下のポイントを押さえることで、リスクを最小限に抑えられます。
保守切れの時期を把握しておく
すべてのIT資産の保守期限を一元管理し、Excelやクラウドサービスを活用した「保守期限」の見える化を図りましょう。
管理すべき情報には以下が含まれます。
- ハードウェアの保守終了日:サーバー、ストレージ、ネットワーク機器など
- ソフトウェアのEOL情報:OS、ミドルウェア、アプリケーションなど
- ライセンスの有効期限:保守契約とは別に管理が必要
リプレイスは早めに計画を立てる
システムのリプレイスには、通常6ヶ月から1年以上の準備期間が必要です。保守期限の2年前から検討を開始することで、余裕を持った対応が可能になります。
早期計画のメリットは以下のとおりです。
- 予算確保の時間的余裕:次年度予算への組み込みが可能になる
- ベンダー選定の充実:複数のベンダーから提案を受け、最適な選択を行える
- 移行リスクの低減:十分なテスト期間を確保し、トラブルを未然に防ぐ
第三者保守(ベンダー)を活用する
メーカー保守が終了しても、第三者保守(ベンダー)サービスを利用することで、システムの延命が可能な場合があります。メーカーではないITベンダーが独自に部品を調達し、修理対応を行います。
第三者保守(ベンダー)を活用するメリットには以下があります。
- コストの削減:メーカー保守より20〜40%程度安価なケースが多い
- 柔軟な対応:複数メーカーの機器を一括で保守が可能
- 豊富な実績:レガシーシステムの保守ノウハウが蓄積されている場合が多い
システムの保守(保守切れ)でお困りですか?
本記事でご紹介したシステムの保守切れ問題は、多くの企業が直面する深刻な課題です。しかし、社内にIT専門人材が不足している中小企業では、保守期限の管理や適切な対策の実施が困難なケースも少なくありません。
「保守期限の管理が煩雑で把握しきれない」 「リプレイスの計画を立てたいが、何から始めればよいかわからない」 「第三者保守の選定基準がわからず不安」 「予算内で最適な保守体制を構築したい」
このようなお悩みをお持ちの企業様に、SE伴走型の課題解決支援サービス「ITあんしんサポート」をご提案します。
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【サポート内容】
- IT資産の棚卸しと保守期限の一元管理体制構築
- 保守切れリスクの評価と優先順位付け
- 延長保守・リプレイス・第三者保守の比較検討支援
- ベンダー選定と交渉のサポート
- リプレイス計画の策定と実行支援
- 保守コスト最適化のご提案
記事で解説した「保守期限の見える化」から「計画的なリプレイス」まで、貴社の状況に合わせた最適な保守戦略をご提案、システムの安定稼働を維持しながら、コストの最適化も実現します。
保守切れによるビジネスリスクを回避し、安心してシステムを運用したい企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
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まとめ
システムの保守切れは、企業のIT運用において避けては通れない課題です。データ消失やセキュリティリスク、コンプライアンス違反など、放置すれば深刻な問題に発展する可能性があります。
保守期限の管理を徹底し、早期から対策を検討することで、これらのリスクは回避できます。延長保守の活用やシステムのリプレイス、第三者保守サービスの利用など、企業の状況に応じた最適な選択をすることが大切です。