クラウドサービスの利用が広がる一方で、基幹システムやSaaSがつながらず、データが分断されている企業は少なくありません。システム間の連携不足により、手作業や重複入力が発生し、業務効率が下がるケースも見られます。
こうした状況を改善する方法として注目されているのがAPI連携です。APIを活用すると、異なるシステム間でデータや機能を安全かつ自動的につなげられます。
そもそもAPIとは?
基幹システムやクラウドサービスを効率的につなぐうえで欠かせない仕組みがAPIです。APIは、異なるアプリケーション同士がデータや機能をやり取りするための「窓口」の役割を持ち、サービス間連携の基盤として幅広く利用されています。
APIの仕組み

APIは、異なるアプリケーションやソフトウェアの間で必要な情報や機能を呼び出せるようにするためのインターフェースです。「Application Programming Interface」の略で、利用側がAPIにリクエストを送ると、提供元のシステムがそれを処理し、結果をレスポンスとして返します。
この仕組みにより、サービス提供者は内部の複雑な処理を公開することなく、必要な部分だけを安全に外部へ提供できます。自社システムの機能を外部でも使えるようにする「API化」も進んでおり、システム間連携の柔軟性が高まっています。
汎用性が高い「Web API」の種類
Web APIは、インターネットを介して外部のサービスとデータや機能をやり取りできる仕組みで、多くのWebサービスやクラウドアプリケーションで利用されています。特に広く使われている方式が「REST API」と「SOAP API」の2つです。
REST API
REST APIは、REST(Representational State Transfer)という設計原則に基づいて作られたAPIです。HTTPメソッド(GET,POST等)をそのまま利用し、JSONやXMLといったシンプルで軽量なデータ形式で通信を行います。Webの基本技術を活用するため実装が容易で、SaaSやWebサービスを中心に幅広く普及しています。導入しやすく汎用性が高いため、現在のAPI連携では代表的な方式として利用されています。
SOAP API
SOAP APIは、SOAP(Simple Object Access Protocol)に基づき、XML形式でデータを送受信する方式です。メッセージの構造や手順が厳密に定義されているため、信頼性やセキュリティが重視される領域で採用される傾向があります。金融機関や公共システムのように高い安全性を必要とする場面では、有力な選択肢として利用されています。RESTに比べると実装は複雑になりやすいものの、拡張性やセキュリティ機能が充実している点が特徴です。
API連携とは
API連携とは、APIを使って複数のシステムやサービスをつなぎ、データや機能を相互に利用可能にする仕組みです。基幹システムに蓄積された情報をクラウドサービスから呼び出したり、外部アプリの機能を自社システムに取り込んだりするといった、システム間の橋渡しとして働きます。これにより、手作業で行っていた処理が自動化され、業務効率とデータの正確性が向上します。
たとえば、基幹システムと在庫管理システムをAPI連携すると、在庫数が更新されるたびに双方のデータが自動的に反映されます。こうしたリアルタイムな同期が可能になることで、情報の一貫性を保ちつつ、業務全体のスピードを高められます。
API連携とEDI連携の違い
EDI連携が主に企業間の定型取引に使われるのに対し、API連携は社内外のさまざまなシステムに適用できる点が大きな違いです。
EDI連携は、企業間の受発注や請求書等の定型化された商取引データを電子的にやり取りする仕組みです。一定周期でバッチ処理を行うのが一般的で、取引内容が明確で繰り返し発生する業務に適しています。
一方、API連携は、必要なタイミングで即時にデータを送受信できるため、リアルタイム性が求められる業務に向いています。扱えるデータの種類も幅広く、企業内外のシステムやサービス同士を柔軟につなげることが可能です。そのため、EC在庫の自動更新やクラウドサービス同士の連携といった多様な活用方法があります。
API連携とiPaaSの違い

API連携は、特定のシステム同士を直接つなぐ方法で、機能の呼び出しやデータ連携をコードレベルで細かく制御できる点が特徴です。必要なシステム同士をピンポイントで連携させたい場合や、自社の要件にあわせて高度な処理を組み込みたい場合に適しています。ただし、連携システムが増えるほど開発や保守が複雑になり、運用負荷が高まるという課題もあります。
これに対してiPaaS(Integration Platform as a Service)は、複数のシステム連携をクラウド上で一元管理できるプラットフォームです。ノーコードやローコードで設定できるため専門的な開発スキルがなくても扱いやすく、連携全体を統制しながら運用できます。個別にAPI連携を積み重ねた結果、システム間のつながりが複雑化してしまった環境を整理し、業務プロセスを横断的に最適化できる点が大きなメリットです。
APIを使った連携自体は有効ですが、対象システムが増えるほど管理の負担が大きくなるため、複数のサービスを継続的に連携させたい場合にはiPaaSのような統合基盤の導入が有効な選択肢となります。
・iPaaSとAPIの違いを徹底比較!どちらを選ぶべきかのチェック方法もご紹介
なお、iPaaSの具体例のひとつとしてIBMが提供する「webMethods」があります。
webMethodsが求められる背景や導入メリット、活用事例については、以下の記事で詳しく紹介しています。
・webMethodsとは?求められる背景や導入メリット、事例を紹介
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API連携でできること
API連携を活用すると、これまで個別に管理していたシステム同士をスムーズにつなぎ、業務プロセス全体を効率化できます。基幹システムの機能拡張や外部サービスとのリアルタイムなデータ共有等、用途は多岐にわたります。
基幹システムと外部システムの連携
基幹システムに蓄積されている業務データを、外部のクラウドサービスやアプリケーションと連携させることで、各システム間でデータを安全かつ正確に共有できるようになります。たとえば、勤怠管理システムと人事、給与システムをAPIで連携すると、日々登録される勤怠データが自動的に給与計算へ反映されるようになり、手作業の入力や確認作業が不要になります。これにより、入力ミスの削減やデータ処理の正確性向上が見込める他、担当者の作業負荷も軽減されます。
また、販売管理と在庫管理といった複数システムにまたがって利用されるデータを、APIを通じてリアルタイムに同期することで、常に最新の情報を基に業務を進められます。データの更新が複数システムに即時反映されるため、現場判断の精度が上がり、業務全体のスピード向上にも寄与します。
基幹システムの拡張
API連携は、基幹システムのライフサイクル延長と利便性向上を同時に実現できる手段として非常に有効です。
API連携を用いることで、既存の基幹システムでは備えていない機能を外部サービスから補えます。たとえば、通知機能を持たない基幹システムと外部のチャットツールをAPI連携すれば、特定のイベントが発生した際に自動的にチャットへ通知を送信できるようになり、基幹システムそのものを改修することなく利便性を高められます。
こうした外部機能の活用により、基幹システムを全面的に作り直す必要がなくなり、最小限の役割に絞って維持できるため、システムの負荷軽減とライフサイクル延長につながります。さらに、外部サービスをAPIで柔軟に組み合わせることで、開発工数や費用を抑えながら機能拡張が進められます。既存システムはそのままに、外部サービスのAPIで周辺機能を柔軟に追加できるため、レガシー環境を抱える企業でも段階的なシステム改善が可能になります。
API連携の具体的な活用例
API連携は、企業システムの内部処理だけでなく、日常的に利用されるWebサービスでも広く活用されています。業務、消費者向けサービスの双方で一般化しており、企業のDX推進において欠かせない仕組みです。ここでは、代表的な活用例を取り上げ、API連携がどのように役立つのかを解説します。
ECなどでの決済システムとの連携
EC事業者にとっては、開発工数の削減とセキュリティ確保を両立できる点が大きなメリットです。
EC事業者は、クレジットカード会社や決済代行サービスが提供する決済APIを利用することで、カード決済機能を自社サービスに組み込めます。すべての決済情報のやり取りはAPIを通じて行われるため、ECサイトがカード番号等の機密情報を直接扱う必要がありません。
利用者が決済を行う際には、ECサイトが決済APIに対して必要な情報をリクエストとして送信し、その結果として承認可否が返されます。この仕組みにより、決済処理を自社で構築することなく、信頼性の高い外部サービスを組み合わせて運用できます。
SaaS(クラウド)同士の機能連携
SaaS同士をAPIで連携すると、複数のクラウドサービス間でデータを自動的に同期したり、互いの機能を組み合わせて新しい業務フローを実現できたりします。例えば、ビジネスチャットツールとデータ編集ソフトを連携すれば、自動的にテキスト配信を行うといったことも可能です。このように、異なるSaaSを繋げることで、それぞれが提供する機能を業務プロセスに組み込み、手作業が発生しがちな部分を自動化できます。特定のクラウドサービスに依存せず、必要な機能を柔軟に組み合わせられる点は、SaaSが増え続ける企業環境において特に大きな価値があります。
・参考:Chatworkの事例はこちら
SNSアカウントを使用したログイン機能の実装
SNSアカウントを使用したログイン機能の実装は、ユーザビリティとセキュリティの両面で優れた仕組みとして幅広く利用されています。
自社サービスにXやFacebook等が提供する認証APIを組み込むと、ユーザーは自身のSNSアカウントを利用してログインできるようになります。新たにIDやパスワードを作成せずに済むため、ユーザー側の手間が減り、ログインのハードルが下がります。
この仕組みでは、認証手続きはSNS側が行い、自社サービスはSNSが返す認証情報をAPIで確認することでユーザー識別を行います。パスワードを自社で保持しなくてよいため、管理コストやセキュリティリスクを軽減できる点も大きなメリットです。
家計簿ソフトと金融機関口座などとの連携
金融データを安全かつ効率的に扱える点でAPI連携は非常に有効です。
家計簿アプリでは、銀行やクレジットカード会社等の金融機関APIと連携することで、最新の残高情報や利用明細を自動取得できます。従来は利用者が手作業で入力していた情報をAPI経由で直接取得できるため、常に正確なデータを保持できるようになります。
この仕組みは消費者向けサービスだけでなく、企業の経理業務や入出金管理にも応用できます。たとえば、金融APIを利用して取引データを自動取得すれば、入金確認や帳票作成の手間を大幅に削減でき、処理の正確性も向上します。
API連携のメリット
API連携を導入すると、既存システムを大きく改修することなく外部サービスの機能を柔軟に取り込み、業務全体の効率化やデータ活用の高度化につなげられます。特に、複数のクラウドサービスや基幹システムが併存する企業では、APIによる接続がデータの一貫性向上や作業負荷の削減に直結し、現場の業務品質向上にも寄与します。ここでは、API連携がもたらす代表的な利点を5つ紹介します。
システムの拡張コストを削減できる
API連携を活用すると、外部サービスが提供する機能を必要な範囲だけ取り込めるため、ゼロからの開発が不要となります。既存システムに新しい機能を追加したい場合でも、大規模な改修を伴わずに外部機能を組み込めるため、開発コストや導入までの期間を抑えられます。たとえば、通知機能や地図表示、決済処理のように専門性の高い機能を外部APIで補完することで、基幹システムの改修を最小限にとどめながら機能拡張が可能になります。結果として、システムの長期的な保守性も維持しやすくなります。
データの利活用が進む
API連携により、これまで個別のシステムに分散していたデータを、自動的に結びつけて一元的に扱えるようになります。手作業での転記やファイルの取り込みといった従来の作業が不要になり、データの整合性を保ちながら処理を効率化できます。異なるシステム間でリアルタイムに情報を共有できるため、最新のデータに基づいた業務運用が可能になり、分析や意思決定のスピードも向上します。点在していたデータを活かしやすくなる点は、企業に大きな価値をもたらします。
セキュリティの向上を図れる
APIを介したデータ連携では、外部サービスと直接接続するために広いアクセス権を与える必要がなく、連携範囲を必要最小限に限定できます。これにより、機密情報が意図せず共有されるリスクを軽減できます。たとえば、決済システムと連携する場合、自社側でクレジットカード情報を保持せずに済むため、情報漏洩リスクを大幅に減らせます。このように、APIによってアクセス範囲を制御できる構造は、情報漏えいや不正アクセスのリスクを軽減でき、セキュリティの観点でも有効に働きます。
ユーザーの利便性が向上する
API連携はユーザー体験の改善にも大きく寄与します。SNSアカウントを用いたログイン機能のように、複数のサービスを同じ認証情報で利用できるようになれば、ユーザーの手間が大きく軽減されます。また、リアルタイムでのデータ反映や自動連携により、常に最新の情報にアクセスできる環境が整い、業務のスピードや正確性が向上します。ユーザーが快適にサービスを利用できる状態を維持しやすくなる点も、API連携の大きなメリットです。
新規サービスの創出を行える
自社が保有する機能やデータをAPIとして外部に公開すれば、他社サービスと組み合わせた新たな価値提供が可能になります。APIを公開してパートナー企業と連携することで、単独では実現できなかったサービスを短期間で市場に投入できるようになり、新しいビジネス機会が生まれます。また、自社サービスを他社製品と組み合わせやすくなるため、エコシステムの構築にもつながります。APIを軸にした連携は、企業のサービス展開に新しい可能性をもたらします。
API連携を行う際のデメリット
API連携は多くの利点をもたらしますが、導入にあたっては事前に理解しておくべき注意点も存在します。特に、利用コストの問題や外部サービスへの依存、APIそのものの提供終了といった外的要因は、運用中のリスクに直結します。ここでは、API連携の検討において大きな3つのデメリットを解説します。
API利用コストがかかる
APIの中には無料で使用できるものもありますが、企業向けサービスの多くは有償で提供されており、利用量に応じて料金が発生します。特に、実行フロー数やデータ転送量にもとづく従量課金制のAPIでは、運用が進むほど想定以上にコストが膨らむおそれがあります。たとえば、連携処理を自動化するために頻繁にAPIを呼び出す設計にしている場合、アクセス数の増加がランニングコストに直結するため、利用量の見積もりや上限の設定を誤ると予算が圧迫されることがあります。導入の際は、料金体系を詳細まで確認し、自社の利用シナリオに適したプランを選ぶことが不可欠です。
外部要因によるシステム停止のリスクを想定する必要がある
API連携は外部サービスに依存するため、提供元のサーバーやネットワークに障害が発生すると、自社サービスにも不具合や機能停止が生じるおそれがあります。とくに、決済処理やログイン認証といった業務に不可欠な機能を外部APIに委ねている場合、APIの停止が業務全体の停止につながる事態も考えられます。障害がサービス側の問題であっても自社からは制御できないため、復旧まで待つしかないケースも多く、可用性の確保が課題になります。こうしたリスクに備えるためには、障害発生時の代替策を用意し、バックアップ手段の検討といった対策が求められます。
API提供先のサービス終了なども想定する必要がある
APIは提供企業の方針によって仕様が変更されることがあり、中にはサービス提供自体が終了してしまうケースも存在します。APIが廃止されると、そのAPIを利用して構築していた連携機能や業務フローが利用できなくなり、自社システムの改修や再構築が必要になるおそれがあります。仕様変更により、これまで問題なく動作していた連携処理が急にエラーになり、対応を急がなければならない状況に陥ることもあります。API連携を前提としたシステム運用では、こうした変更リスクを織り込み、更新情報を定期的に確認する体制を整えておきましょう。
API連携の実装方法

API連携を導入する際は、単にシステムを接続するだけでは十分ではありません。どの業務を改善したいのか、どのデータをどう扱うのかといった目的の整理から、API選定、アカウント登録、認証情報の取得、実装、テストまで、一連のプロセスを丁寧に進めることが求められます。ここでは、API連携を実現するための代表的な流れを4つのステップに分けて解説します。
1. 目的に合ったAPI提供サービスを選定する
最初に行うべきことは、API連携の導入目的を明確にすることです。たとえば、手作業で行っているデータ転記をなくしたいのか、既存システムでは実現できない機能を追加したいのか、あるいは顧客向けサービスを拡張したいのかによって、選ぶAPIは異なります。
目的が整理できたら、その目的を達成できるAPIサービスを比較していきます。提供されている機能の内容はもちろん、課金体系、サービスの信頼性、セキュリティ要件への対応、過去の利用実績、サポート体制等を確認し、自社のシステム環境に適しているかを見極めることが大切です。また、仕様変更時の通知ルールや、テスト用のAPIを利用できるかどうかといった点も、長期的な運用を考える上で欠かせない視点です。
2. APIを提供しているサービスに登録する
利用するAPIサービスが決まったら、次に開発者アカウントの登録を行います。多くの場合、企業情報や担当者情報の登録、利用規約への同意が必要です。機密情報を扱うAPIの場合には、利用開始前にNDA(秘密保持契約)や個別の契約書を締結するケースもあり、社内の情報システム部門や法務担当と連携しながら進めることが求められます。
利用目的や利用範囲をサービス側に申請しなければならない場合もあるため、扱うデータの種類や利用頻度を整理しておくと、スムーズに登録を進められます。
3. APIキーとシークレットキーを取得する
アカウント登録が完了すると、APIへアクセスするための認証情報としてシークレットキーとAPIキーが発行されます。
これらは、APIを利用するユーザーやアプリケーションを識別するための大事な情報であるため、厳密な管理が必要です。APIキーやシークレットキーを誤って共有したり、外部に漏えいしたりすると、第三者による不正利用につながる可能性があります。認証情報は適切に保護された環境で管理し、利用する担当者を限定し、定期的にキーを更新するといったセキュリティを保つための運用ルールを整えておくことが求められます。
4. サービス側の仕様通りにAPIを実装する
APIキーを取得したあとは、提供元が公開しているリファレンスに従って、自社システムへAPIを実装します。リファレンスには利用できる機能や呼び出し方法が細かく記載されており、この内容を正確に読み解くことが不可欠です。たとえば、どのエンドポイントにどのようなパラメータを渡すのか、どの形式でデータが返ってくるのかといった情報はすべて仕様書を基に判断します。
API提供企業によって実装方法は異なるため、仕様を誤解すると意図した動作にならない場合があります。リファレンスに沿ってプログラムを組み込み、必要な認証処理を行ったうえで動作を確認しながら進めることが大切です。APIの仕様は更新されることもあるため、導入後も仕様変更に注意しながら運用していく体制が必要です。
API連携する際の課題
API連携は業務効率化やシステム拡張に有効ですが、導入にあたってはいくつかの技術的、運用的なハードルも存在します。特に、API固有の知識や仕様の理解、既存システムの改修が必要になる点は、多くの企業で検討すべきポイントです。
API開発に関連する知識が必要
API連携を行うためには、プログラミングやネットワークに関する基礎知識に加えて、RESTやSOAPといったAPI特有の仕組みを理解する必要があります。認証方式やデータ形式といった、APIごとに異なる要素も多く、連携を進めるには一定の技術力が求められます。自社内にAPI開発を十分に扱えるエンジニアがいない場合、実装や運用に余計な時間がかかり、外部への開発委託が必要になる場合があります。
API提供先の仕様・リファレンスの解読が必要
APIは提供元のリファレンスに基づいて利用するため、その内容を正しく理解することが欠かせません。しかし、仕様書が複雑であったり、記述が不足していたりするケースもあり、どのパラメータをどのように扱うか、エラー時にどう処理するかといった点を把握するだけでも一定の工数がかかります。また、サービスによっては証明書の準備や追加の認証設定が必要になることもあり、想定以上に手間がかかることがあります。
必要に応じて既存システムの改修が必要
API連携を行う際、既存のシステムやデータベースをそのまま利用できるとは限りません。連携に必要なデータを準備するための項目追加や、呼び出し処理に対応するための改修が求められるケースもあります。特に、API連携を前提に設計されていないレガシーシステムの場合、連携のための改修が大きな負担になることがあります。改修規模が読みにくいため、API連携の計画段階で影響範囲を慎重に見極めることが大切です。
まとめ
API連携は、異なるソフトウェア同士の間でデータや機能をやり取りできるようにし、業務効率化やサービス拡張に役立つ有効な手段です。一方で、実装には専門的な技術知識が求められたり、連携するシステムが増えれば増えるほど設定が複雑化し、運用負荷が高まるという課題も伴います。これらを踏まえ、自社の業務に合った形で「どのシステム同士を」「どのような粒度で」連携させるのかを設計していくことが重要です。
特に、複数のSaaSや業務システムが混在する環境では、個別のAPI連携を積み重ねるだけでは、やがて全体構造が複雑化しやすくなります。どこかのタイミングで、システム全体を俯瞰しながら業務プロセスと連携の在り方を見直し、「全体最適」の視点で考えることが欠かせません。
こうした背景を踏まえ、なぜSaaSを増やすほど業務が複雑化してしまうのか、その本質やシステム乱立のリスク、全体最適化に向けたアプローチを整理した解説ホワイトペーパーを公開しています。情報システム部門の方が、自社のシステム連携・API連携の方針を検討する際のヒントとしてご活用いただける内容です。
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