システム開発失敗事例まとめ!失敗しないための4つのポイントを解説

今回は、システム開発の失敗事例をまとめました。
「システム開発失敗」と言っても、リカバーするために大金を投じてなんとかリリースしたものもあれば、手に負えなくなって消去されたシステムなど様々です。

この記事では、システム開発の失敗事例を5つのブロックにわけて紹介します。失敗を防ぐための4つのポイントについても解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。

システム開発の失敗とは?

システム開発の失敗とは、一言で言えば、目指したゴールに到達できなかった時のことを指します。

具体的にはどういう状況かというと、以下のような状態を指すことが多いでしょう。

  • 期限までに開発が終わらなかった
  • 予算を大幅にオーバーしてしまった
  • 開発されたシステムがユーザーの要求を満たさなかった

システム開発の失敗は、単なる時間やコストの無駄遣いだけでなく、企業の業績にも影響を及ぼす可能性があります。
企業としての信頼度が低下すると、顧客関係にも悪影響を及ぼす可能性は大いにあります。

だからこそ失敗の原因を理解し、それを防ぐための策を立てることが大切なのです。

合わせて読みたい

自社に新しいシステムを導入することになり、システム開発の会社にアウトソーシングすることにした時、失敗しないためにはどのようなポイントに注意して選定すれば良いのか、慣れていないと判断が難しいポイントです。 実際、システム開発のアウトソ[…]

システム開発会社の選び方

システム開発の失敗事例

システム開発は、多くの要素が複雑に絡み合うとても難易度の高い作業です。それゆえ、さまざまな要因が重なりプロジェクトが失敗に終わることも多いのです。

では、具体的にどのような点がシステム開発の失敗につながるのでしょうか。ここでは、世界で起こった開発失敗事例の概要をまとめました。

(1)要件定義不足によるシステム開発失敗事例

事例1:ヘルスケアITシステム

比較的大きな病院グループが患者管理システムの改善のため、新しいITシステムを導入する計画を立案。しかし、要件定義の段階で、患者のデータ保護に関する問題や、既存のシステムとの連携、日々の業務プロセスの中での使用方法など、重要な要素が見落とされていました。
結果、導入後にこれらの問題が明らかになったことでシステムの大幅な修正が必要となった。

事例2:オンラインショッピングプラットフォーム

要件定義の際、ユーザーインターフェースの詳細な設計を怠ったことでウェブサイトのパフォーマンスや利便性に問題が発生。商品の検索機能が使いづらく、商品を見つけるのに苦労する結果に。カートから購入画面に進むプロセスが複雑で使いづらいため、多くのユーザーが途中で購入をやめてしまう事態に発展。

要件定義不足による開発失敗を避けるためには

要件定義はシステム開発の初期段階で行われるため、その後のプログラミングに非常に大きな影響を及ぼします。顧客が必要とする機能や要件について、事細かに確認することが大切です。

要件定義不足による失敗を避けるためには、要件定義のプロセスに十分な時間とリソースを割くことが重要です。

(2)開発遅延によるシステム開発失敗事例

事例1:海外某空港の荷物管理システム

海外の某空港では、全自動の荷物管理システムの導入を計画。しかし、開発とテストの工程で多くの遅延が生じ、結果として空港の開業が16ヶ月遅れることとなった。これにより、市は約6億ドルの追加コストを負担。それでも複雑すぎるシステムの開発に対応できず、結局手動で荷物を管理することに。

事例2:とある情報機関のファイルシステム

とある情報機関は、膨大な古い紙ベースの情報をデジタル化し、情報を容易に検索、分析、共有できるよう新システム開発を試みた。次々と出てくる要件に対応できていないにも関わらず開発を続けたが、ズルズルと遅延していき、手の付けられない状態に。最終的には4年の遅れと6億ドルのコストオーバーでプロジェクトは終了。

開発遅延による開発失敗を避けるためには

開発遅延での失敗は比較的起きやすいものなのですが、裏を返せば、プロジェクトマネージャーがスケジュールをしっかり把握し、進捗状況を随時管理しておけば、防げる場合も多くあります。

開発で最も重要だとお伝えした「要件定義」に力を入れ、設計やプログラミングの品質を向上させることが大事です。

(3)技術選定ミスによるシステム開発失敗事例

事例1:某大手製薬企業のERPシステム

某大手製薬企業が新しいERPシステムを導入しようとした際、選定したシステムが既存の業務フローや保管されていたデータとの整合性を欠いていたことが発覚。導入後に発覚したため、業務効率が著しく低下した。さらに予算を投下し、ERPシステムのカスタマイズを実施したがマッチせず、業務プロセスの変更を余儀なくされた。

事例2:某国裁判所の記録システム

某国裁判所は、公開された裁判記録を提供するためのオンラインシステムを開発。しかし、このシステムは非常に古い技術を用いて構築され、ユーザーからはその使い勝手の悪さとアクセスの煩雑さについて多くの不満が寄せられる。陳腐化した技術を選んだことが問題の一因とされた。

技術選定ミスによる開発失敗を避けるためには

技術選定ミスによる失敗を防ぐためには、まずは細かなところまで要件を理解することです。

要件が明確になった上でその要件を満たすための技術を調査し、各技術がどの程度要件を満たすかを評価しましょう。可能な限り早い段階でプロトタイプを作成してテストすれば、選定した技術が要件を満たしているかどうかを判別することができます。

(4)予算超過によるシステム開発失敗事例

事例1:システム開発企業の新システム

当初予定になかったが、開発に使用することになった外部ライブラリやツールにライセンス費用が発生。追加の開発リソースが必要になったことで予算超過が発生。これにより開発プロジェクトが一時停止し、新バージョンのリリースが大幅に遅れることとなった。

事例2:某国政府のソフトウェア導入

某国政府が公共部門のITプロジェクトを管理するためのソフトウェアを導入。システム設計者は某国政府側の人員であった。初期予算は1億円程だったが、要望の増加や複雑な設計によりプロジェクトが大幅に遅延。当初予算の10倍以上を投下することとなった。

予算超過による開発失敗を避けるためには

予算超過による失敗を防止するためには、開発費用の見積もりやコスト管理、変更管理などを徹底し、その都度迅速に対応していきましょう。

また、顧客とのコミュニケーションを密に行い、予算超過を防止するための対策を共有することもとても重要です。要望ばかりを聞いて予算が大幅に超過してしまい、プロジェクトが中止に終わってしまっては本末転倒です。

(5)コミュニケーション不足によるシステム開発失敗事例

次に、コミュニケーション不足による失敗事例があります。
システム開発には多くの人物が絡んでいるため、あらゆるパターンのコミュニケーション不足が考えられます。

事例1:プロジェクトマネージャーと開発チームのコミュニケーション不足

プロジェクトマネージャーが必要な情報や要件を適切に開発チームに伝えなかったため、開発が進められず、期限が間に合わなくなった。

事例2:顧客とのコミュニケーション不足

顧客と開発チームとの間で適切なコミュニケーションが取れず、ユーザーのニーズや要件が正確に把握しきれなかった。結果、開発されたシステムは顧客の要望に沿ったものではなかった。

事例3:開発チーム内のコミュニケーション不足

開発チーム内のメンバー同士が情報や意見を共有せず、各自が独自に作業を進めたため統合が困難となり、システムの一部が互換性のない形で実装されてしまった。

事例4:外部ベンダーとのコミュニケーション不足

システム開発に参加していた外部ベンダーとのコミュニケーションが不十分で、彼らの役割や責任が明確化されていなかった。結果、開発プロセスが混乱し、期限に遅れが生じることになった。

コミュニケーション不足による開発失敗を避けるためには

コミュニケーション不足による失敗を回避するには、こまめなミーティングの実施や報告制度を設けることが大切です。

特に開発メンバー同士が情報、認識を共有することで、開発の方向性を明確にすることができます。プロジェクトマネージャーが適切な進捗管理を行い、各メンバーが抱える問題や不安を解消し、解決策を提示することも大事といえます。

システム開発で失敗を防ぐための4つのポイント

システム開発が失敗しては、企業の信頼はガタ落ちです。
では、失敗を避けるためにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、システム開発がスムーズに進み、期待する成果を達成するための5つのポイントを紹介します。

(1)要件定義を徹底する

システム開発プロジェクトにおいて、なにより重要なものは要件定義です。

要件定義は、システムが必要とする機能や性能、制約条件などを明確に定め、開発プロジェクトの方向性を示すものになります。
このポイントが不十分であると、システムの仕様が不明確になり、開発の進捗が遅れたり、品質不良が発生したりします。そのため、要件定義の徹底が重要とされるのです。

要件定義を徹底することで、システム開発プロジェクトの方向性が明確になり、品質不良やコスト増加のリスクも軽減されます

(2)品質の管理を徹底する

品質の管理とはバグやエラーを早期発見、都度修正していくことで、正常に動くシステムを作り上げるための工程のひとつです。

この品質管理を徹底しないと、最悪の場合リリースの延期などの事態に陥ります。
既に公の場で公表されている場合は、リリース延期になるだけでも企業の信用は落ちてしまいます。万が一、リリース後に多くのバグやエラーが多発した場合は、一層信用が落ちてしまうことにもなりかねません。

①品質目標を設定
②設定した品質目標の指標を設ける
③品質指標に達しているかを定期的にチェックする

万が一品質に不備を発見した場合は、早め早めに問題を解決しくことを念頭に置いておいて、管理を徹底しましょう

(3)リソース管理を徹底する

リソース管理の徹底とは、開発に関わる人、時間、物の3つの要素全てを効率的に配分し、管理することです。

  • 人的リソース管理 :個々のスキルを鑑みて、適材適所に配置し、研修や教育を通してスキルを向上させる
  • 時間的リソース管理:現実的なスケジュールを作成し、進捗状況を常に確認する
  • 物的リソース   :十分なスペックの機器を準備し、適切な管理を行う

リソース管理を徹底することで無駄なリソース消費を避け、システム開発をスムーズに進行できます。日々の徹底した管理で、予期せぬトラブルや遅延をできるだけ防いでいきましょう

(4)積極的にコミュニケーションを取る

システム開発で失敗を防ぐためのカギの一つは、”話すこと”です
単なる情報伝達としての会話だけでなく、日々の小さな出来事も共有することがおすすめです。そうすることで、困っていることや悩んでいることを早い段階で見つけ、トラブルになる前に芽を摘んでおくことができます。

システム開発には多くの人が関わるので、ひとつのシステムを皆で作り上げていくという一体感をつくることも大切です。
もちろんエンジニアだけでなく、顧客とも週1回はコミュニケーションを取り、要望に沿った開発に進んでいるかをきちんと確認しておきましょう。

問題を未然に防ぐためにも、積極的なコミュニケーションは欠かせません

まとめ

システム開発の失敗事例をご紹介しましたが、他にも世界的に有名な企業のシステム開発失敗事例など、まだまだたくさん存在します。これは、たとえ世界的に有名な企業であっても、油断すれば簡単に失敗してしまうという事実を物語っています。

開発規模に関わらず、失敗を防ぐためのポイントを抑えて取り組みを進めていきましょう。

弊社ではシステム開発における失敗がないように、徹底的にプロセスを管理したチームが存在します。
全国に拠点を持ち、日々様々な開発に励んでいます。

システム開発を検討している方は、以下の「DXワンストップソリューション」ページをご覧ください。

\ システム開発・導入の不安はCMKが解決します/

\ ご相談は気軽に /
お問い合わせはこちら

人気記事【2023年度版】プログラミング言語トレンド10選!将来性や難易度についても解説

>お役立ち資料のダウンロード

お役立ち資料のダウンロード

ブログでは紹介しきれないシステム開発や導入におけるケーススタディを資料にまとめました。お気軽にダウンロードください。

CTR IMG