企業のIT化が急速に進むなか、業務効率化を図るための業務アプリケーションの導入を検討するケースが増えています。業務アプリケーションには非常に多くの種類、製品がありますので、どのように選定したら良いか悩んでしまうこともあります。そこで、業務アプリケーションに関する基礎知識や、自社のニーズに合わせて導入すべき製品の選び方を考察していきます。
業務アプリケーションとは?
業務アプリケーションとは、企業の日常業務を効率化・自動化するためのソフトウェアの総称です。「業務アプリ」とも呼ばれ、PCはもちろん、スマートフォンやタブレットなどマルチデバイスに対応した製品が主流となっています。
単一業務に特化したものから、複数部門を横断的にカバーする統合型まで、企業のニーズに応じた多様なアプリケーションが存在します。
主な業務アプリケーションシステム
企業が活用する業務アプリケーションは多岐にわたります。ここでは代表的な6つのシステムと、それぞれの特徴を簡単に紹介します。
生産管理システム
製造業の心臓部ともいえるシステムです。原材料の調達から生産計画、品質管理、納期管理まで、製造プロセス全体を可視化し、一元的に把握できるシステムです。
工場との連携によって、ほぼリアルタイムで生産の進捗状況を確認したり、品質管理ができたりするものもあります。仕入れ材料の在庫状況のチェックや発注、製品の余剰を減らし、無駄を軽減するのに役立つシステムです。
販売管理システム
販売管理システムとは、見積もりから受注、売上、請求、入金まで、販売に関する一連の流れを管理するシステムです。顧客情報や商品情報、価格情報なども一元管理でき、営業活動の効率化を図れます。売上データの分析機能により、売れ筋商品の把握や販売戦略の立案にも活用できます。
在庫管理システム
商品や部品の入出庫、在庫数、保管場所などを管理するシステムです。どの倉庫にどれだけの在庫があるのかをチェックしたり、販売システムとの連携で自動的に在庫の増減を処理したりできるものが多く見られます。バーコードやRFID(電波を用いてICタグの情報を非接触で読み書きする自動認識技術 )と連携することで、手入力することなく自動的にデータを確認できるようにするシステムは利便性が高く需要が大きいです。
受注管理システム
お客様からの注文を受け付け、請求書処理や発送指示などの受注業務全般を管理するシステムです。ECサイトや電話、FAXなど、さまざまなチャネルからの注文を一元管理でき、受注ミスの削減や処理スピードの向上を実現します。EC事業者や製造業(個別受注生産)、卸売業など、注文処理が業務の中核となる企業では、販売管理システムとは別に専用システムとして導入されるケースが多く見られます。
勤怠・人事管理システム
従業員の出退勤時刻、残業時間、有給休暇などの勤怠情報を管理します。給与計算システムと連携すれば、勤怠データをもとに自動で給与計算が可能です。人事管理機能では、従業員の基本情報、スキル、評価履歴などを管理し、適切な人材配置や育成計画の立案に活用できます。
情報系システム
経営判断に必要な情報を収集・分析・共有するためのシステムです。BI(Business Intelligence)ツールやデータウェアハウス(大量のデータを統合管理する仕組み)などが含まれます。各業務システムから収集したデータを統合的に分析し、経営ダッシュボードで可視化することで、迅速な意思決定を支援します。
業務アプリケーションを導入するメリット【5選】
業務アプリケーションを導入することで得られるメリットは多岐にわたります。具体的にどのようなメリットがあるかを知り、必要に応じて導入を検討しましょう。
①業務効率化につながる
自社の業務に合った業務アプリケーションを導入することで、手作業で行っていた集計や転記作業を自動化することができます。たとえば、これまで半日かかっていた月次レポートの作成がボタン一つで数分で完了するようになるなど、大幅な業務効率化が実現できます。
②ヒューマンエラーを減らせる
手入力や転記作業では、どうしても入力ミスや計算ミスが発生しがちです。業務アプリケーションを導入すれば、データの自動取り込みや計算処理により、こうしたミスを大幅に削減できます。また、入力チェック機能により、異常値や必須項目の入力もれを防げるため、データの正確性が向上します。
③データの管理や分析がしやすくなる
紙やエクセルで分散管理していたデータを一元化できるため、必要な情報をすぐに取り出せるようになります。過去のデータも簡単に検索でき、傾向分析や比較分析もすぐに実行できます。グラフやチャートによる可視化機能により、問題点の早期発見や改善策の立案に役立ちます。
④テレワークなど柔軟な働き方に対応できる
業務アプリケーションは、基本的にインターネットに接続している環境であればどこでも作業できます。そのため、従業員がオフィスにいる必要はなく、テレワークなどの柔軟な働き方が可能となります。スマートフォンやタブレットに対応したアプリケーションも増えており、外出先での承認作業や情報確認もスムーズに行えます。
⑤DX推進に役立つ
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、多くの企業が注力している課題です。業務アプリケーションを導入することで、デジタル技術を使った業務改革が進みやすくなります。紙ベースや属人的な業務が減り、データドリブンな体制が定着することで、蓄積されたデータを活用した新サービスの開発や、顧客ニーズの予測精度向上などが期待できます。
業務アプリケーションを導入する方法
自社に最適な業務アプリケーションを導入するために、まずは業務アプリケーション導入方法の違いを理解しましょう。
既存の業務アプリケーション(パッケージソフト)を導入する
もっとも手軽な方法は、市販されているパッケージソフトの導入です。すでに多くの企業が利用している実績があるため、導入までのステップやサポート体制が整っているケースが多いです。コストや導入スピードの面でもメリットがあるため、初めて業務アプリケーションに取り組む企業には有力な選択肢です。ただし、パッケージソフトは汎用性が高い反面、自社独自の業務形態に合わない機能も含まれる場合があります。
外部に依頼し独自の業務アプリケーションを開発する
自社の業務形態が特殊で、市販のパッケージではカバーしきれない場合は、外部の開発会社に依頼して独自のシステムを作る方法が考えられます。オーダーメイドなので、自社の要望に合わせた機能を実装できますが、その分コストは高くなりがちです。また、規模によっては開発期間が年単位と非常に長くなるため、スケジュール管理に注意が必要です。
自社で業務アプリケーションを開発する
自社にエンジニアや開発チームがいる場合は、社内で独自開発を進めることも一つです。要件定義から保守運用まで、一貫して自社でコントロールできる点は大きなメリットです。また、自社内のノウハウが溜まるため、システムの拡張やバージョンアップにも柔軟に対応しやすくなります。
業務アプリケーションを選ぶチェックポイント
導入の方向性が決まったら、次は具体的なアプリケーションの選定です。以下のチェックポイントを押さえておくと、失敗を避けやすくなります。
自社に必要な機能があるか
最も重要なのは、自社の業務に必要な機能を網羅しているかどうかです。導入後に「欲しい機能がなかった」「既存の業務フローと合わない」という問題が起きると、追加開発やカスタマイズが発生してしまいます。機能要件をリストアップし、優先度を決めてから選びましょう。
自社の環境に適切か
対応しているOSやデバイス、ネット環境、セキュリティ環境をチェックしましょう。また、既存システムとの連携方法も必ず確認が必要なポイントです。API連携やデータ連携の方式、対応するファイル形式などを技術的に検証しましょう。
使いやすい操作性か
システムは使われなければ意味がありません。業務アプリケーションは多くの従業員が日常的に触れることが想定されるため、操作性が悪いと、利用者のストレスが積み重なります。実際にトライアル環境などを利用し、現場の担当者に使い勝手をテストしてもらうことをおすすめします。
セキュリティ対策は問題ないか
業務アプリケーションには、顧客情報や重要な経営データが保管されることも多いです。そのため、セキュリティ対策がしっかりしているかどうかは非常に重要な項目です。アクセス制限の有無やデータの暗号化、バックアップの仕組みが整っているかなどを必ず確認しておきましょう。
予算内で導入できるか
アプリケーションの導入には、ライセンス料や開発費、運用保守費など、初期費用だけでなく継続的なコストも発生します。想定外の追加費用がかからないように、導入前に全体的な費用を見積もっておきましょう。SaaS型で月額課金のものや、機能別に追加課金が発生するものもあるため、運用開始後のランニングコストについてもしっかり把握して検討を進めましょう。
まとめ
業務アプリケーションは、企業の生産性や効率化を大きく左右する存在です。生産管理や販売管理、勤怠管理など、さまざまな分野でシステム化が進んでいます。 導入時は「自社の業務に合った機能を備えているか」「予算やセキュリティ面に問題はないか」といった点をしっかりチェックすることが重要です。
業務アプリケーションを賢く導入し、日々の業務を最適化することで、企業としての競争力も高めていきましょう。
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