クラウド(正式名称:クラウドコンピューティング)とは、インターネット上にあるサーバーにデータやソフトウェアを保存しておき、必要なときに使えるようにする仕組みのことをいいます。
身近なもので例えるならば、電力を壁のコンセントから利用するようなもので、自分の家に大きな電源を持つ必要がないのと同じように、高性能なコンピュータや大量のデータストレージの現物を設置する必要がないのです。
この記事では、初心者向けにクラウドの基礎知識を解説し、クラウドの種類やメリット、活用事例をご紹介します。
クラウドって何?簡単に解説
クラウドとは、インターネット上にあるサーバーにデータやソフトウェアを保存しておき、必要なときに使えるようにする仕組みのことをいいます。
これまでは、大きなデータを保存したり高度な計算をするためには、高価なコンピュータやサーバーが必要でした。しかし、このような資源を保有しなくても、クラウドを利用することで同様の効果を得ることができます。
具体的には、コンピューターやスマートフォンに直接データを保存する代わりに、インターネット上のクラウドに保存することがで、どこからでもアクセス可能になり、デバイスが壊れたときでもデータが失われる心配がなくなります。
クラウドの歴史
クラウドという言葉を聞くことが多くなりましたが、実は最近できた技術ではなく、インターネットが始まった1960年代ごろからクラウドの原型はありました。
当時のパソコンは値段が高く、物体的にも大きくて重いので、ほとんどの一般家庭には設置されていませんでした。そのため、大学や企業などが持っている大きなコンピューターに電話回線をつなぎ、データやソフトウェアを共有して使っていました。
これがクラウドの始まりです。
その後、ネットの普及によりパソコンが安価になり、技術の発展により小型化されたことも相まって、一般家庭にも徐々にパソコンが普及していきました。
しかし、パソコンに保存するデータやソフトウェアが増えるにつれて求められる容量が大きくなっていきました。
そこで、インターネット上にあるサーバーにデータやソフトウェアを保存しておいて、必要なときに使えるようにすれば、パソコン自体の容量を大きくする必要がなくなるクラウド化が注目されるようになりました。
クラウドの3つの種類
クラウドには様々な種類があります。
大きく分けると、SaaS(サース)、PaaS(パース)、IaaS(アイアース)という3つに分類されます。
SaaS(サース)
Software as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)の略で、インターネット上で提供されるソフトウェアのことです。
メールやカレンダー、写真編集や動画編集などのソフトウェアはSaaSです。SaaSを使うと、自分のスマホやパソコンにソフトウェアをインストールしなくても、インターネット上で使えます。
PaaS(パース)
Platform as a Service(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の略で、インターネット上で提供される開発環境のことです。
ウェブサイトやアプリなどを作るときに必要なプログラミング言語やデータベースなどの開発環境はPaaSです。PaaSを使うと、自分のスマホやパソコンに開発環境を設定しなくても、インターネット上で開発ができます。
IaaS(イァース/アイアース)
Infrastructure as a Service(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)の略で、インターネット上で提供されるサーバーやストレージなどの基盤のことです。
データやソフトウェアを保存するサーバーやストレージはIaaSです。IaaSを使うと、自分でサーバーやストレージを用意しなくても、インターネット上で借りて使えます。
クラウドを活用する4つのメリット
ここまで、クラウドについて確認してきましたが、メリットも見ていきます。大きく4つのメリットがあると言われています。
- コスト削減につながる
- 運用が楽になる
- 場所に縛られずにデータにアクセスできる
- 導入後すぐに利用できる
コスト削減につながる
クラウドを利用すると自分でサーバーやソフトウェアを購入、設置しなくて良いため、コスト削減につながります。サービス提供者が運用と管理をしてくれるので、初期費用や維持費がかからず、サービスの利用料の支払いだけで済みます。
運用が楽になる
クラウドサービスはサーバーやソフトウェアのメンテナンスをサービス提供者側が行ってくれるので、自社でアップデートやバックアップをする手間とコストを省けます。また、セキュリティ対策もサービス提供者が責任を持って行ってくれるので、安心して利用が可能です。
場所に縛られずにデータにアクセスできる
クラウドはサーバーでデータを管理しているので、インターネットに接続できる環境があれば、パソコンやスマホなどの端末からいつでもどこでもアクセスできます。そのため、会社の外でも別の端末から仕事ができて、メールやUSBメモリなどを使わずに他の人とデータを共有できるのです。また、データをクラウド化すれば複数人同時に編集が可能になります。
導入後すぐに利用できる
クラウドサービスはすでに完成されたシステムなので、自社でシステムを組み替えて設定せずともすぐに利用可能です。インターネットに接続してサイトにアクセスするだけで、すべての機能が使えるようになります。業務にツールを導入するときに、迅速にシステム環境を整えられるのは大きなメリットです。
クラウド活用事例
クラウドは個人でも企業でも広範囲で活用されています。以下に、その具体的な活用事例をご紹介します。
クラウドストレージ
GoogleドライブやDropboxなどのクラウドストレージを活用すると、写真や動画、ドキュメントなどをインターネット上に保存できます。自宅のPCや外出先のスマホからも、場所を選ばずにデータにアクセスできます。
クラウドゲーミング
高性能なゲームをプレイするには、通常は高価なゲーム専用機やPCが必要ですが、クラウドゲーミングサービス(例:Google Stadia)を利用すれば、一般的なPCやスマホでも高品質なゲームを楽しむことができます。
クラウドコンピューティング
Amazon Web Services (AWS) やGoogle Cloud Platform (GCP) などのクラウドサービスを活用することで、大規模なITインフラを自社で保有・管理する必要がなくなります。クラウドを導入することで、ITコストを削減し運用を簡素化することができます。
クラウドベースの業務アプリケーション
SalesforceやSlackなどのクラウドベースのアプリケーションを利用することで、リモートワークの効率化や、顧客管理、プロジェクト管理などの業務を効率よく進めることができます。
まとめ
この記事では、クラウド(クラウドコンピューティング)について詳しく説明しました。
クラウドとは、インターネット上のサーバーにデータやソフトウェアを保存し、必要なときにアクセスできるようにする仕組みあり、その原型はインターネットが始まった1960年代にさかのぼります。
現在のクラウドは主に3つの形態から成っており、名称はSaaS、PaaS、IaaSと呼ばれています。
技術の進歩とともにクラウドの可能性は無限大ともいえます。今後のクラウドはどのような形に進化していくのか楽しみですね。
クラウドコンピューティングの進歩とその可能性に、引き続き注目していきましょう。