ダークウェブとは?取引される身近なものと世界の対応について解説

インターネットの進化とともに、私たちの生活には欠かせない情報やサービスがネット上には氾濫しています。しかしその裏側には、一般のブラウザでは見ることのできない「ダークウェブ」という領域が存在します

この領域は、匿名性が高く、多様な活動や取引が行われている場所とされています。正当な目的で使用されることもあれば、違法な取引や犯罪行為の場としても利用されることもあり、我々の安全なネット利用に影響を及ぼす可能性があります

この記事では、ダークウェブとは何か、ダークウェブはなぜ誕生したのか、世界がどのように対応しているのかについて、詳しく解説しています。正しい知識を持つことで、より安全なインターネット環境を築く手助けとなります。

ダークウェブとは?

ダークウェブとは、一般的な検索エンジンからは検索やアクセスができないWEBサイトを指します。特定のツールやブラウザからしかアクセスできないようになっています。匿名性が違法に高いことから「光が当たらない奥底にある」という意味合いで「ダークウェブ」と称されています。

この言葉を聞くと、なんとなく怪しげなイメージを持たれる方も多いかと思いますが、その背景にはダークウェブの特有の性質が関係しています。インターネットは巨大な情報の海ですが、我々が日常的にアクセスしているウェブページはごく一部に過ぎません。これを「サーフェスウェブ」と呼びます。一方、サーフェスウェブで検索できない、ログインが必要なページやデータベースなどを「ディープウェブ」と呼びます。そして、さらにその中で、特殊なツールを使わないとアクセスできない部分が「ダークウェブ」となります。

ダークウェブの存在自体は悪ではありませんが、その匿名性を利用した違法な活動が行われていることも事実です。しかし、ダークウェブがもつ特性や機能を理解して、間違ってもアクセスすることがないように理解しておくことも大切です

インターネットの三層

インターネットは世界中の情報が詰まった巨大な情報ネットワークですが、その全体像を理解するためには、「三層」を理解しておきましょう。上記でも少し触れましたが、より詳しく解説していきます。

サーフェスウェブ

サーフェスウェブとは、インターネット上で一般的にアクセス可能なウェブページやコンテンツのことを指します。これは我々が普段利用しているウェブの部分で、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで簡単に検索やアクセスができる部分です。ニュースサイト、ブログ、企業の公式サイトなど、公開されている情報がサーフェスウェブに分類されます。逆に、サーフェスウェブには含まれない情報やページがディープウェブやダークウェブとして知られています。サーフェスウェブは、インターネットの氷山の一角とも言われるほど、実は全体のごく一部なのです。

ディープウェブ

ディープウェブとは、インターネット上の情報の中で、一般的な検索エンジンを使って検索やアクセスができない部分を指します。この領域には、会員制のサイト、プライベートなデータベース、学術的な研究データ、政府のドキュメントなど、公開されていないか、特定の条件下でのみアクセス可能な情報が含まれます。ディープウェブは、秘密の情報や違法な内容を隠す場所というわけではありません。むしろ、日常のオンライン活動の中で、意識せずに使用している情報の多くがディープウェブに分類されるのです。ディープウェブはインターネットの大部分を占めており、サーフェスウェブとは対照的に、その規模は非常に広大です。

ダークウェブ

ダークウェブは、インターネットの隠された領域で、特殊なツールやブラウザを使わないとアクセスできない部分を指します。この空間は、高度な匿名性が保たれており、その特性を活かした様々な活動が行われています。残念ながら、違法な取引や犯罪的行為の場としても知られています。しかし、ダークウェブは元々、言論の自由やプライバシーを守るための場として開発されました。報道の自由が制限されている国での情報共有や活動家のコミュニケーションツールとしての側面も持っています。ただし、アクセスは高いリスクを伴うため、十分な知識と注意が必要です。

ダークウェブはなぜ誕生したのか

ダークウェブのルーツは、アメリカ海軍が開発に関与した通信ツール「Tor」にさかのぼります。もともと、Torはアメリカ政府が自身の通信を保護する目的で開発が進められていました。その後、この技術は一般にも公開され、ユーザーのプライバシーを守る手段として広まっていきました。しかし、その強力な匿名性が諸刃の剣となり、違法な活動や情報の取引場所としての側面も生まれてしまったのです

特に、情報が制限される国や地域では、情報の自由や安全な通信の場としての役割が強まりました。そして、この技術上の層を中心に、ダークウェブという領域が形成されていったのです。最初の目的がどれだけ純粋であったとしても、技術やツールは使う人の意図によって悪しき形で利用されることもあるという悲しき例ともいえます。

ダークウェブで取引されるもの

ダークウェブは、その匿名性を活かした情報共有やコミュニケーションの場としての側面を持つ一方、アクセスすることによって多くの危険性やリスクが存在します。リスクを侵してまで入手したいものとは一体どういったものがあるのでしょうか。取引されるものの中でも、より身近なものを5つご紹介します。

不正取得された個人情報

ハッキングなどにより盗まれた個人情報が取引されており、これには名前、住所、電話番号などの基本情報や、さらに詳細なプロファイルが含まれることがあります。

違法に入手されたクレジットカード情報

スキミングなどで不正に取得されたクレジットカードの情報が取引されており、カード番号、有効期限、セキュリティコードなどが含まれることがあります。

コンピュータのプログラムやハッキングツール

正規版を無断で改ざんしたソフトや不正に取得されたアカウント情報、さらにはハッキングを助けるツールやサービスが販売されています。

企業の秘密情報

企業の新製品の開発計画、販売戦略、クライアントデータ、技術データやビジネスデータ、研究データなどが、不正に取得され、販売されることがあります。

ゼロデイ脆弱性

「ゼロデイ脆弱性」とは、ソフトウェアやシステムに存在する、開発者自身もまだ認識していないセキュリティ上の弱点を指します。この脆弱性が悪意ある者に知られると、修正が行われる「ゼロの日」までの間、不正アクセスや攻撃の対象となるリスクが高まります。ダークウェブでは、このようなソフトウェアの脆弱性情報が共有されたり、悪用するツールが高額で取引されることがあります。

世界はダークウェブにどう対応しているか

ダークウェブはその特性上、多くの違法行為や問題行動の温床となっています。この事態に、各国はさまざまな対策や取り組みを進めています。その背景と対応を見ていきましょう。

法的取り組み

多くの国では、ダークウェブでの違法行為を取り締まるための法律を強化しています。不正に得た情報の売買や違法な商品の取引など、ダークウェブを使った犯罪に対する罰則を設けている国が増加しています。

技術的アプローチ

一部の国や機関は、ダークウェブ上の犯罪活動を監視・追跡するためのツールや技術を開発しています。この取り組みによって、ダークウェブのサーバーを特定し、サイトを閉鎖する動きが進行中です。さらに、ハッキング技術を活用して、犯罪者の追跡も進められています。

教育と啓発活動

ダークウェブの危険性を知らせるためのキャンペーンや教育プログラムが行われています。特に若者を対象とした啓発活動が積極的に行われており、安全なネット利用の重要性が伝えられています。

各国の連携

ダークウェブの問題は国を超えて拡大しているため、各国間の情報共有や共同での対策が強化されています。国際的な取り決めや協力体制を整えることで、ダークウェブに関連する犯罪を根絶しようという動きが見られます。

上記のような対応を通じて、ダークウェブの問題やリスクの減少が期待されています。しかし、技術の進歩と新しい手法が出現することによって、ダークウェブの問題はいたちごっこの状態に陥っています。今後も諦めず、持続的な努力と取り組みが必要となるでしょう。

ダークウェブまとめ

ダークウェブは、特定のツールを使用してのみアクセス可能なインターネットの一部で、その匿名性が多様な取引や活動の場として利用されています。適切な知識と理解をもたないままアクセスすることは、多くのリスクを孕んでいます。

危険が多く、アクセスすることのデメリットが圧倒的に多いダークウェブへのアクセスは避け、健全で安全なネット利用を心掛けましょう。

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