AIを業務に取り入れる企業が増える中、「複数のAIエージェントをどう連携させるか」が新たな課題になっています。生成AIは優秀ですが、企業の複雑な業務プロセスに組み込むには限界があります。そこで注目されているのが「Solace Agent Mesh」です。
Solace Agent Meshは、AIエージェント同士をリアルタイムにつなぎ、協調して動かすための基盤です。本記事では、LLMやRAGとの違い、主な機能、注目される理由、活用例までをわかりやすく解説します。
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Solace Agent Meshとは?
「Solace Agent Mesh」は、カナダのSolace社が提供するAIエージェント連携基盤です。複数のAIエージェントをイベント駆動でつなぎ、リアルタイムに協調・動作させることを目的としています。
企業のAI活用が進むにつれて、単体のAIモデルだけでは対応しきれない業務が増えてきました。たとえば、顧客からの問い合わせ対応では、質問の意図を理解するAI、社内データベースを検索するAI、回答を生成するAIなど、複数のAIエージェントが連携して初めて一連の処理が完了します。
Solace Agent Meshは、こうした複数のAIエージェントをつなぐ「メッシュ(網目状のネットワーク)」の役割を果たします。Solace社がもともと強みをもつイベントブローカーの技術を基盤としており、AIエージェント間のメッセージをリアルタイムかつ確実にやり取りできる点が特徴です。
それぞれのAIを「点」として活用するのではなく「面」としてつないで動かす。Solace Agent Meshは、そうしたエンタープライズ規模のAI運用を支えるためのプラットフォームです。
当社は設立から40年分のITノウハウを蓄積しており、「Solace Agent Mesh」の他、イベント駆動(ドリブン)プラットフォームである「Solace Platform」の販売から導入支援までトータルでご提供しています。 Solace Agent Meshについてご興味をお持ちの方は、ぜひ当社へご相談ください。
Solace Agent MeshとLLMやRAGとの違い
AIに関する用語として「LLM」や「RAG」などを耳にする機会が増えているのではないでしょうか? Solace Agent Meshは、LLMやRAGとは異なる役割をもっています。それぞれの仕組みを整理したうえで、違いを確認しましょう。
【LLM】生成する仕組み
「LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)」は、大量のテキストデータを学習し、人間のような自然な文章を生成するAIモデルです。ChatGPTやClaude、Geminiなどが代表例にあたります。
LLMの強みは、質問応答・要約・翻訳・コード生成など、幅広いタスクに対応できる汎用性です。一方で、LLM単体では社内の最新データを参照したり、外部システムを操作したりすることはできません。あくまでも「学習済みの知識をもとに文章を生成する仕組み」と理解しておくとよいでしょう。
【RAG】探して答える仕組み
「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」は、データベースから関連情報を検索し、その情報を基にLLMが回答を生成する仕組みです。そのため、企業の内部文書やマニュアルなどを学習させておくことで、より正確な回答を提供できます。
ただし、RAGが扱うのは基本的に「情報の検索と生成」の範囲にとどまります。複数のシステムを横断した処理や、リアルタイムでの業務プロセス実行には向いていません。
【Agent Mesh】つないで動かす仕組み
LLMが「考える」役割、RAGが「調べて答える」役割だとすれば、Solace Agent Meshは「つないで動かす」役割を担います。具体的には、複数のAIエージェントを接続し、あるエージェントの出力を別のエージェントの入力として渡したり、イベントの発生をトリガーにして一連の処理を自動実行したりします。
LLMやRAGを「部品」として組み込みながら、全体の処理フローを制御するのがSolace Agent Meshの位置づけです。
AIエージェントとの違い
「AIエージェント」とは、与えられた目標に対して自律的に判断・行動するAIを指します。単体でもツールの呼び出しや意思決定を行えるといった特徴があります。
AIエージェントが「動く個体」であるのに対し、Solace Agent Meshはそれらを束ねて協調させる「通信網と管理基盤」にあたります。つまり、AIエージェントとSolace Agent Meshは対立する概念ではなく、Solace Agent Meshの上でAIエージェントが動く関係です。
Solace Agent Meshの主な機能
Solace Agent Meshには、エージェントの構築から運用・監視までを一貫してカバーする機能が備わっています。4つご紹介するので、ひとつずつ見ていきましょう。
エージェントを構築・管理する
Solace Agent Mesh は、画面操作で簡単なエージェントをノーコードで作成できます。その一方で、高度なエージェントの実装が必要な場合は、開発者がコードを記述することで対応可能です。
作成したエージェントは本番環境に展開しやすく、既存のエージェントとあわせて一元管理できるため、エージェントの数が増えてもシンプルな運用がしやすいといった特徴があります。
社内データや外部システムとつなぐ
Solace Agent Meshは、企業がもつ既存のデータベースやCRM、ERPなどの業務システムとエージェントを接続する機能を備えています。また、イベントブローカー技術を活用することで、データの取得やシステム間のやり取りをリアルタイムに処理できます。
複数のエージェントを連携・制御する
複数のエージェントを連携・制御する機能は、Solace Agent Meshの中核です。単にエージェント同士をつなぐだけでなく、あるエージェントの判断結果を別のエージェントへ引き継ぎ、一連の業務として処理を進められる点が特徴です。
たとえば、問い合わせ内容を読み取るエージェントや社内データを確認するエージェント、回答を作成するエージェントが連携することで、複数の処理をひとつの流れとして実行できます。
Solace Agent Meshでは、こうしたエージェント間のやり取りをイベント駆動で行うため、状況の変化に応じて必要な処理をすばやく次のエージェントへつなげられます。
監視とセキュリティ
Solace Agent Meshは、エージェントごとに必要な情報だけを渡せるように設計されています。役割に応じた緻密なアクセス制御にも対応しているため、機密性の高いデータを扱う場合でも使いやすい点が特徴です。
Solace Agent Meshが注目されている理由
Solace Agent Meshが多くの企業から関心を集めている背景には、いくつかの要因があります。ここからは、Solace Agent Meshが注目されている理由について詳しく見ていきましょう。
リアルタイム連携が求められている
現代のビジネスでは、顧客からの問い合わせ、在庫の変動、市場の動向など、従来のバッチ処理では対応が追いつかず、リアルタイム性が求められる業務領域が拡大しています。
Solace Agent Meshはイベント駆動型のアーキテクチャを採用しているため、データの変化をリアルタイムに検知することで、データの発生から処理完了までの処理スピードを大幅に改善できます。
複数のAIをつないで動かせる
企業において、部門ごとに異なるAIツールやモデルが導入されるケースが増えています。しかし、それぞれのAIが独立して動いているだけでは、業務全体の効率化にはつながりません。
Solace Agent Meshを使えば、異なるAIエージェントを横断的に連携できます。これにより、従来は人間にしかできなかった高度な業務判断なども、複数のAIの組み合わせによって自動化できるようになります。
安全性と運用性が重視されている
生成AIの業務利用が広がる一方で、情報漏えいやAIの誤動作に対する懸念が高まっています。Solace Agent Meshはアクセス制御や監視機能を標準で備えているため、安全性を確保しながらAIを運用したいという企業のニーズに応えています。
エンタープライズに対応している
Solace Agent Meshは、大規模な導入で求められるセキュリティ・拡張性・ガバナンスに対応しており、企業での利用に必要な運用性を備えています。
こうしたエンタープライズ用途に対応した技術基盤であるSolace Agent Meshは、金融・通信・物流などリアルタイム性と安定性の両方が重視される分野においても活用されています。
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、リアルタイムデータの活用が重要性を増しています。 「Solace Platform」は、企業のDXにおけるデータ連携やリアルタイム処理を支援する「イベント駆動型(ドリブン)アーキテクチ[…]
Solace Agent Meshの活用例
Solace Agent Meshは、さまざまな業務領域での活用を想定して設計されています。ここからは、代表的なユースケースをご紹介します。
顧客対応
顧客対応では、問い合わせ内容の確認だけでなく過去の対応履歴や契約情報の確認、回答案の作成、担当部署への引き継ぎなど複数の作業が発生します。
Solace Agent Meshを活用すると、問い合わせを起点に複数のエージェントを連携できるため、必要な情報の取得から回答作成、担当者への振り分けまでを一連の流れとして進めやすくなります。これにより、対応のばらつきを抑えながら、顧客対応のスピードと品質の向上が期待できます。
予知保全と現場対応
製造業や設備管理の運用において、故障してから対処するフローでは、停止時間やそれに伴うコストが大きくなりがちです。
Solace Agent Meshは、センサーのデータをもとに異常の兆候を把握できるため、点検や修理を早めに計画しやすくします。
従業員の業務支援
従業員の業務範囲は幅広く、情報収集や利用アプリの切り替え、資料作成などに多くの時間がかかります。Solace Agent Meshは、こうした作業にまつわるAIを業務環境の中で活用しやすくする基盤です。
必要な情報の整理や文書作成のサポート、繰り返し作業などをAIで代行できるため、業務全体の効率化につながります。
Solace Agent Meshが向いている企業
Solace Agent Meshの導入効果が見込めるのは、複数システムをまたいでAIを動かしたい企業や安全性を重視したい企業です。Solace Agent Meshが向いている企業を詳しく解説するので、ぜひ自社の現状との比較にお役立てください。
複数システムをまたいでAIを動かしたい企業
部門ごとに異なるシステムやAIツールを導入しており、それらを連携させて業務を自動化したいと考えている企業に向いています。
Solace Agent Meshを導入することで、個別での最適化でとどまっていたAI活用を全社レベルに拡張できます。
安全性を重視したい企業
金融や医療、公共といった規制の厳しい業界では、AIの導入にあたってセキュリティやガバナンスの確保が欠かせません。
Solace Agent Meshはアクセス制御、監査ログ、データ暗号化といったエンタープライズ向けのセキュリティ機能を備えているため、安全性を重視したいといった企業の要件にも対応できる設計になっています。
まとめ
Solace Agent Meshは、複数のAIエージェントをリアルタイムに連携させるための基盤です。LLMやRAGが「考える」「調べる」仕組みであるのに対し、Agent Meshは「つないで動かす」役割を担います。
イベント駆動型のメッセージング技術をベースに、エージェントの構築・接続・連携・監視までを一貫してカバーできる点が強みです。
リアルタイム性や安全性、拡張性が求められるエンタープライズ環境において、Solace Agent Meshは、AI活用を次の段階へ進めるための最適な選択肢といえるでしょう。
