今、多くの企業が「システム内製化」に注目しています。これまではベンダーや専門業者に丸投げしていたという企業が多くありましたが、内製化が注目されているのはなぜなのでしょうか。
システム内製化とは具体的に何を指すのか、どのようなメリットがあるのか理解していない人も多いかもしれません。今回の記事では、そんなシステム内製化について詳しく解説します。初めてシステム内製化に着手したいとお考えの方は、是非参考になさってください。
この開発は内製化すべき？に答えます。
システム開発を内製したいが知識が足りない・・・
システム開発を外注したいがどこまで外注すべきかわからない・・・
システム開発を内製すべきか外注すべきか判断が難しい・・・
大切なことは、メリット・デメリットを理解し、うまく使い分けをすることです。
システム内製化とは？
システム内製化とは、企業が自社のシステムの開発・運用を外部企業に委託せずに、自社内で行う事をいいます。
外部企業に開発を依頼するアウトソーシングとは異なり、企業内部で必要なシステムの設計から運用までの全てを行います。内製化により、自社のシステム開発のノウハウが蓄積され、将来的にシステム開発の効率化やコスト削減につながる点がメリットです。
システム内製化が注目される理由
システム内製化が注目される理由は、デジタルトランスフォーメーション（DX）の推進と市場の急速な変化に素早く対応するためです。内製化により自社のニーズに合ったシステムを開発し、仕様変更にも柔軟に対応が可能になります。
また、ローコードやノーコード、SaaSサービスなどの拡充により、システム開発へのハードルが下がったことも、内製化が注目される理由のひとつだと考えられます。新たなサービスを活用することで、業務効率化やスピードアップ、コスト削減などのメリットを享受できるため、多くの企業が内製化に注目しています。
従来のシステム開発の流れ
従来のシステム開発の流れは、以下のとおりです。
- 要件定義
- 設計
- 開発
- テスト
- 運用・保守
この流れで、システム開発の各工程を専門の企業に分業して依頼するのが一般的でした。
しかし、この方法では開発会社とのコミュニケーションミスや要件の誤解、システムの品質や納期に関する問題が生じることがありました。そのため、より企業内でコントロールを効かせたい、自社のビジネスにより合ったシステムを開発したいというニーズが増えたことも、システム開発の内製化が注目されるひとつの要因になります。
システム内製化のメリット
ITシステム内製化が注目されている理由が分かったところで、次に具体的なメリットを見ていきましょう。
要件や仕様を自社で把握・理解できる
一つ目は「要件や仕様を自社で把握・理解できる」点です。
例えば、自社ECサイトの開発を内製化することで、自社の商品やサービスの特徴、顧客のニーズなどを深く理解した上で、より使いやすいシステムを開発することができます。
アウトソーシングの場合、システム開発の要件や仕様を外部に説明する必要があり、メールやチャットでのやり取りの場合はミスコミュニケーションが発生するかもしれません。内製化することで、自社で要件や仕様を把握・理解したうえで、より適切なシステムを開発できます。
開発・運用を自社で行うため、柔軟な対応が可能になる
二つ目は「開発・運用を自社で行うため、柔軟な対応が可能になる」点です。
内製化により、自社のチームが直接開発に関わるため、必要に応じて迅速に変更やアップデートを行うことが可能になります。これは、外部ベンダーに依存する場合に比べても反応速度が速く、適応性が高いという利点を持っています。
自社でシステムを運用することで、実際の使用状況に基づいた改善や最適化もスムーズに行えます。また、緊急時の対応や、長期的なシステムの改善にも柔軟に取り組むことができ、全体的なサービスの質を高めることにも繋がります。
開発・運用ノウハウが社内に蓄積される
三つ目は「開発・運用ノウハウが社内に蓄積される」点です。
システム開発や運用を外部委託する場合、社内にノウハウが蓄積しないことに課題を感じる企業も多いようです。システム開発や運用を内製化することで、貴重なノウハウを社内に蓄積することが可能になります。これにより、将来のプロジェクトや改善活動に活かせる知識と経験の宝庫が形成されます。
また、実際のプロジェクトにおいて直接的な経験を積み、問題解決のスキルを磨くことができます。このように、人材育成のためにも内製化に興味を示す企業が増えています。
システム内製化のデメリット
次に、システム開発を内製化する際のリスクやデメリットについて確認しておきましょう。
必要な人材やリソースを自社で確保する必要がある
内製化の最大の課題は、システム開発に必要な人材やリソースを自社で確保しなければならない点です。専門的な知識やスキルを持つ人材を採用したり、社内で育成するには時間がかかります。また、システム開発は一時的なものではなく、継続的に運用や改善が必要なため、長い目で見てもコストがかかるということを覚えておかなくてはなりません。
ノウハウやスキルを社内に蓄積する必要がある
内製化を進めるためには、システム開発のノウハウやスキルを社内に蓄積しておく必要があります。社内の研修や教育、経験の積み重ねが必要で、ある程度の期間が必要となることが想定されます。場合によっては長期化することもあり、ノウハウやスキルを社内に蓄積するためには、初期段階で時間とリソースの投資負担が大きくなりやすいです。
また、最新の技術トレンドにキャッチアップし続けるための継続的な学習も必要となるため、一部の社員は負担を感じる元となる可能性もゼロではありません。他にも共有のための環境を整えておく必要もあるため、サーバーやファイル共有サービスにコストがかかる可能性もあります。
開発の責任を自社で負う必要がある
開発をアウトソーシングする場合、システム開発の責任は外部企業にあります。しかし、内製化した場合は、もちろんシステム開発の責任は自社にあります。システムの不具合やトラブルが発生した際に、自社で解決する能力が求められる上に、解決できない場合にもセキュリティの観点から外部企業に依頼しづらいという状況に陥るかもしれません。
セキュリティ対策や法規制の遵守など、運用に関する全ての責任も負わなければならないという点にも注意が必要です。
システム内製化するかアウトソーシングするかの考え方
ここまで、システム内製化が注目される理由やメリット・デメリットについて解説してきましたが、システム内製化とアウトソーシングどちらが良いのかと思われる方も多いのではないでしょうか。どちらが良いのかは、それぞれの状況や目的によります。今現在システム内製化をするか否かについて考えている方は、以下の観点から考えてみましょう。
システム開発の目的や要件を踏まえて検討する
システムを内製化するかどうかを決める際には、まずその目的や要件をしっかりと踏まえて検討することが大事です。具体的なニーズや期待されるシステムの機能、将来的な拡張性などを明確に理解しておきましょう。
例えば、システム開発の目的が「自社のコア業務を効率化する」場合、内部の状況によって開発の手法や設計が変わってくるので、内製化の方が適していると言えます。一方で、一時的な案件や特殊な技術が必要な場合は、アウトソーシングが適している場合もあります。
自社の強みと弱みを考慮する
システムを内製化するかどうかを決める際、まずは自社の強みと弱みを書き出してみましょう。自社が何を得意とし、どの分野で不足しているかを理解することで、自ずとどうするべきかの判断がつきやすくなります。
例えば、難易度の高い技術が必要な単発のプロジェクトであれば、アウトソーシングの方がコスト面で有利になりやすいです。自社の主業務に密接に関連する長期プロジェクトの場合は、内製化が良い結果をもたらす可能性が高いです。
上記のように、プロジェクトの性質も考慮に入れて検討し、全体的なビジネス戦略や目標に合わせて行うことが推奨されます。
コストやリスクを比較する
システムを内製化するかどうかを決める際、コストとリスクの比較は必須だといえます。内製化は初期投資や人件費がかかりますが、長期的には自社の完全な制御下にあるため、将来的な面でコスト削減が期待できます。
逆にアウトソーシングでは初期コストが低減されますが、外部依存により納期コントロールが難しくなる問題や品質問題のリスクがつきまといます。どちらを選択するかはプロジェクトの性質、企業戦略により、コストとリスクのバランスを考慮して決定する必要があります。
まとめ
今回は、システム内製化について解説してきました。内製化とアウトソーシングのどちらがよいかは、ここまでの観点を踏まえて、自社にとってメリットが大きい方を選択する必要があります。
システムの開発は内製化し、運用はアウトソーシングするといった方法もあります。自社の状況に合わせて、最適な方法を選択しましょう。
この開発は内製化すべき？に答えます。
システム開発を内製したいが知識が足りない・・・
システム開発を外注したいがどこまで外注すべきかわからない・・・
システム開発を内製すべきか外注すべきか判断が難しい・・・
大切なことは、メリット・デメリットを理解し、うまく使い分けをすることです。
