【2025年最新】iPaaSとは?基礎知識から導入手順まで徹底解説!

クラウドサービスの導入が当たり前になった現在、営業はCRM、マーケティングは MA、経理は会計SaaSといった具合に部門ごとにツールが乱立し、データの受け渡しを人手で埋めている企業は少なくありません。

iPaaS(Integration Platform as a Service)は、こうした「システム間のすき間」をクラウド上で補完し、リアルタイム連携と業務自動化をノーコード・ローコードで実現する統合基盤です。

本記事では、そもそも何のためにiPaaSが必要なのかについてだけでなく、導入後にiPaaSの成果を最大化する方法までを解説します。

iPaaSとは?今さら聞けない基礎知識

クラウド活用が加速する今、部署ごとに導入されたSaaSとオンプレミス基幹システムが「データの壁」を生み、業務スピードを下げています。

iPaaSはその壁を取り払い、リアルタイム連携と業務自動化をノーコード・ローコードで実現するクラウド統合基盤です。

読み方と定義・歴史

iPaaS(Integration Platform as a Service)は「アイパース」と読みます。

iPaaSは、あらかじめ用意されたコネクタやAPIをGUIで組み合わせることで、多様なクラウドサービスやオンプレミスシステムなどのデータを「連携・統合」するためのサービスです。

複数のシステムを繋いでデータのやり取りを自動化することで、業務の効率化やデータの一元管理を目指せます。

2008年ごろに北米で登場し、SaaSの普及と歩調を合わせて成長。日本では2018年ごろからIT部門を中心に導入が進み、2025年現在では「DXプロジェクトの標準インフラのひとつ」として定着しつつあります。

ESB/RPA/EAIとの違いをチェック

  iPaaS ESB RPA EAI
主な用途 アプリ連携と業務自動化 大規模・企業全体レベルのサービス連携 画面操作自動化 HUB型データ連携でデータやメッセージを集約
提供形態 SaaS(クラウド)が主流 SaaS & オンプレ の両方に対応 デスクトップ SaaS & オンプレ の両方に対応
強み 拡張性と短期導入 信頼性と高性能 個別作業の削減 GUIでデータ連携設定ができ、運用までの工数削減が可能

RPAが人間のマウス操作やキーボード入力を代替するツールであるのに対し、iPaaS はシステム同士のデータや処理を恒常的に「つなぐ」ことを目的としています。

つまり、作業単位の自動化ではなく「仕組み全体の自動化」という範囲の違いが明確です。

なぜ2025年に注目されるのか?

2025年の企業ITを語るうえで欠かせないキーワードが「マルチクラウド」です。

オンプレミスの基幹システムを残したまま部門単位でSaaSを増やした結果、何十種類以上ものクラウドサービスを併用する企業は珍しくありません。

その一方で、DXに携わるエンジニアの数は十分とはいえず、マルチクラウド環境下でもノーコード・ローコードで柔軟に連携を組める統合基盤の需要が急上昇しています。

iPaaSはこの局面で、業務部門でも扱えるITインフラとして脚光を浴びています。

iPaaSの主な機能と仕組みを解説

連携基盤としてのiPaaSは、どんな部品で動いているのでしょうか?まずはiPaaSの「つなぐ」「動かす」「見守る」の3層構造をひも解き、全体像を掴みましょう。

データ統合・API連携

iPaaSの中核はコネクタ経由での「API連携」です。クラウド間はもちろん、オンプレミスのデータとも双方向に連携できます。

バッチ転送とリアルタイム連携を同じインターフェースで管理できるため、「夜間はまとめて転送、営業時間中は即時反映」といった柔軟な運用が可能です。

データフロー自動化(イベント駆動・条件分岐)

iPaaSのもうひとつの柱が「データフローエンジン」です。

たとえば、ECサイトの注文が確定したら在庫を引き当て、会計システムに仕訳を送り、チャットツールで関係者に通知する、といった一連のプロセスをiPaaSはノーコード・ローコードで設計できます。

条件分岐やループもGUI上で組めるため、手動作業や待機時間を大幅に削減できます。

モニタリング/エラーハンドリング

実際にiPaaSでの連携が動き始めると、「止まらない仕組み」を維持することが重要になります。

iPaaSではダッシュボードで実行回数や処理時間、エラー発生箇所を一目で確認できるため、異常があれば自動リトライや担当者へのアラートを通知できます。

バージョン管理やアクセス制御も備えているため、ガバナンス面でも安心といえるでしょう。

メリット・デメリット徹底比較

iPaaSの導入を検討するなら、効果とリスクの両面を評価する必要があります。ここでは、コスト削減や効率化の裏に潜む注意点まで徹底比較します。

メリット:業務効率化・コスト削減効果

iPaaSの導入効果は主に3つに集約されます。

まずは「工数削減」です。手入力していた業務をiPaaSで自動化すると、二重入力が原因の遅延やミスの発生を抑えられるだけでなく、人員リソースのコストカットが見込めます。

次に「速度向上」です。iPaaSによるリアルタイム連携により、ECサイトなどにおいての在庫や売上が常に最新化されるため、業務のリードタイムを短縮できます。

最後は「保守負荷の低減」です。SaaSタイプのiPaaSを利用すればサーバーレスで稼働するため、ソフトウェアアップデートもクラウド側で行われます。そのため、自社でインフラを抱える必要がありません。

デメリット:ベンダー依存・カスタマイズの限界

iPaaSにはメリットがある一方で、留意すべきはAPI非公開のSaaSとは直接つながらない点と、複雑なビジネスロジックはデータフローも複雑になる場合がある点です。

また、iPaaSサービス停止時の影響を考慮し、データのエクスポート手段やSLAを必ず確認しておきましょう。

向いている企業/向かない企業をチェック

SaaSを4種類以上運用し、月100回以上の手動転記が残っている企業ならiPaaS が向いているでしょう。

反対にオンプレミスのみで完結しており、外部とのデータ授受が発生しない環境では、iPaaSよりも他の統合方式のほうが適している可能性があります。

iPaaS導入ステップと成功のポイント

iPaaSのツール選定から全社展開まで、計画的に進めなければ失敗します。この章では、5段階の導入ステップと落とし穴回避のための成功ポイントを時系列でご紹介します。

PoC〜本番展開までのロードマップ

iPaaSの導入は以下の5段階で考えるとスムーズです。

①現状分析
「どの作業がどれだけ手間か」を定量化し、ROIが高いフローを洗い出します。

②候補ツールの選定
次に2〜4週間のPoC(概念実証)で候補のiPaaSツールを比較し、API接続の可否や料金モデルを検証します。

③本番環境での稼働
小規模導入では、影響範囲の小さいひとつの業務を選び、本番環境で稼働させます。

④社内展開
その成果をKPIで可視化し、テンプレートとして他部門へ横展開します。

⑤全社運用&最適化
最後に全社運用に移行し、月次レビューでフローの失敗率や実行回数をチェックしながらiPaaSの最適化を続けましょう。

ガバナンスとセキュリティ設計

iPaaSのフローが増える前に、命名規則やフォルダ階層、権限ロールを標準化しておくと運用負荷を軽減できます。

通信経路はVPNやIP制御で保護し、データは TLS1.2 以上で暗号化。さらに監査ログを半年以上保存し、内部統制やISMSの監査に備えると安心です。

失敗しないiPaaS&ベンダー選定7つのチェックリスト

iPaaSは一度導入すると日常業務の中枢を担うため、ツール選びでつまずくと後々の運用コストが跳ね上がります。そのため、信頼できるベンダーに依頼するのもよいでしょう。

ここからは「機能・性能」「安全性」「将来コスト」という3つの観点から、iPaaSおよびベンダー選定で必ず確認したい7つのチェックポイントをご紹介します。

【iPaaS選定】

①自社で使うSaaSコネクタは網羅されているか?
いま使っているものだけでなく、直近で導入予定のツールを8~9割以上、標準コネクタでカバーできるか確認しましょう。

②API上限やレートリミットは業務量に耐えられるか?
実データ量でPoCを行い、ピーク時も処理が滞らないことをチェックしましょう。

③将来の利用拡大を想定しても価格モデルは許容範囲か?
フロー数や実行回数が5倍程度になった時の月額費用も試算しておきましょう。

④データをエクスポートして別ツールへ移行できるか?
フロー設計やログを汎用形式で出力できるかがロックイン回避の鍵となるため、抜け漏れなく確認しましょう。

⑤日本語ドキュメントとコミュニティが充実しているか?
マニュアルとユーザーコミュニティが活発であれば、自己解決スピードが格段に上がります。

【ベンダー選定】

⑥SLAとサポート体制は必要十分か?
目標稼働率や一次対応時間、復旧時間がビジネス要件を満たすかを見極めましょう。

⑦ISO/SOC2などの認証を取得しているか?
公的なセキュリティ認証があれば追加監査工数を大幅に省けるため、事前にチェックしておきましょう。

弊社は設立から40年分のITノウハウを蓄積しており、webMethodsなどのiPaaSをはじめ、システム連携の支援実績があります。iPaaS連携でお困りの方は、ぜひ当社へご相談ください。

まとめ

クラウドとオンプレミスが共存する2025年、iPaaSは単なる便利ツールではなく「データと業務をつなげる必須インフラ」としての地位を確立しつつあります。

PoCの導入について、最初は小さなPoCで十分です。実際にひとつでもフローを動かしてみると、手作業に潜んでいたコストとリスクが可視化され、次に取り組むべき課題が鮮明になります。

iPaaSにより連携の自動化が進むほど、本来の戦略的な業務に時間を割けるようになるでしょう。

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