基幹システムとERPの違いとは?それぞれの特徴やメリットの基礎情報をご紹介

企業のDX化を進める中で、多くの企業が導入を検討するのが「基幹システム」と「ERP」です。両者の違いが明確でないまま、導入を検討している担当者の方も多いのではないでしょうか。

どちらも業務の効率化やデータ管理の最適化に役立つシステムですが、それぞれの役割やメリットには違いがあります。本記事では、基幹システムとERPの違いを解説し、自社に適したシステムを選ぶためのポイントを整理します。

【基本】基幹システムとERPの違いはこれ!

「基幹システム」とは、企業の主要業務を支える個別の管理システムを指します。例として、会計管理や人事管理、販売管理など業務ごとに独立したシステムがあげられます。

一方「ERP(Enterprise Resource Planning)」は、これらの基幹システムを統合し、一元的に管理するシステムのことを指します。

つまり、ERPは個別の基幹システムを統合し共通のデータベースを活用することで、部門間の情報共有や業務の効率化を促進します。

基幹システムとは?

基幹システムは、企業の業務を支える重要なITインフラです。財務管理や人事管理、給与管理、販売管理など、企業活動の中核を担うそれぞれの業務の効率化を実現します。具体的にどのような機能や役割を果たしているのかを詳しく見ていきましょう。

特徴と主な機能

基幹システムは、企業の主要な業務を支えるシステムであり、業務ごとに独立した機能をもつのが特徴です。ただし、データ形式やシステムの仕様が統一されている場合、異なるモジュール間での連携は可能となっています。

基幹システムの主な機能としては、生産管理や販売管理、人事管理、購買管理、物流管理などがあり、それぞれの業務に特化したシステムを個別で導入できます。

各モジュールには、業務の自動化やデータ分析の機能が備わっていることが多く、効率的な業務運用を実現します。

導入するメリット

基幹システム導入の大きなメリットは、業務の効率化が期待できることです。ペーパーレス化の推進や作業の自動化によって、人の手に頼る業務リソースを削減し、生産性を向上できます。

また、今まで基幹システムを導入していなかった企業では、DX化により部署間の情報連携が比較的スムーズになるため、連絡ミスなどによるヒューマンエラーの防止にもつながるでしょう。

さらに、業務の属人化の解消も期待できるため、社員の異動や退職時の引き継ぎが容易になり、業務の透明性も向上します。

ERPとは?

ERPは、企業内の業務プロセスやデータを統合し、一元管理するためのシステムです。

会計管理や人事管理、販売管理、在庫管理など複数の基幹システムを統合することで、情報の可視化と業務の効率化を実現します。ここからは、ERPの基本的な役割や特徴について詳しく解説していきます。

特徴と主な機能

前述の基幹システムは業務ごとに機能が分かれており、データベースが独立している場合もあります。一方ERPは、分散した各基幹システムを統合し、データや処理を集約したり管理したりできるのが特徴です。

従来の基幹システムでは、業務ごとに異なるシステムを操作しなければならないこともありましたが、ERPを導入することで、ひとつのシステム上で異なる業務の処理を一元的に行えるようになります。

ERPは複数の部署や業務のデータを統合できるため、横断的な分析を可能にします。販売管理や在庫管理、物流管理、会計管理などの一連の業務フローをシームレスに連携し、一元管理することで、生産性の向上ができます。

導入するメリット

ERPを導入することで、業務プロセス全体の自動化基幹システム間の強力な連携が可能になります。

従来の各作業単位の自動化にとどまらず、販売管理から会計管理までといった複数の業務を一元化し、迅速な情報共有を可能にします。その結果、顧客対応のスピード向上や売上アップにつながるのが大きなメリットです。

さらに、データの一元管理により、各部署が共通の情報を基にした分析や経営判断を行えるようになります。リアルタイムでのデータ活用が可能になることで、精度の高い戦略立案を実現できるでしょう。

また、企業のガバナンスの強化にも寄与します。ERPでは、標準化された業務プロセスのもとでデータ処理が行われるため、不正な操作が困難になります。万が一、不正が発生した場合でも、ログ管理機能により迅速に発見し追跡できるため、最小限のトラブル対応で収められます。

自社にあったシステムの選び方

多くのメーカーが基幹システムやERPを提供しており、それぞれ異なる機能や特徴をもっています。これらのシステムはそのまま導入するのではなく、自社の業務に適した形に開発したりカスタマイズしたりするのが一般的です。

ここからは、自社に最適なシステムの選び方をご紹介します。導入前に自社の課題や要件を明確にし、最適な基幹システムやERPを選びましょう。

業務課題を整理する

自社の業務でどの部分を効率化したいのかなど、現在抱えている課題を明確にすることが、適切な基幹システムやERPを選定する第一歩となります。

現状の業務プロセスを洗い出し、システム導入によって解決できる課題と、そもそも業務手法の改善が必要な課題を区別しましょう。

業務課題の整理を行うことで、事前に必要な機能を的確に把握できるため、基幹システムやERP導入後のギャップを最小限に抑えられます。

社内のニーズに応じて選ぶ

基幹システムやERPをメインで利用するのは、主に現場の従業員です。経営陣や情報システム部だけの判断ではなく、各部署のニーズを的確に把握することが導入成功の鍵となります。

各部署の業務プロセスの詳細を確認し、それぞれのニーズに適した操作性をもつシステムを選定することが重要です。また、各部署間の連携が必要と想定されるポイントを洗い出し、基幹システムの場合は統合時に最適な連携機能を備えるよう調整しましょう。

予算から検討する

基幹システムやERPの導入には多額の投資が必要となるケースが多く、追加開発やカスタマイズの有無によってもコストが大きく変動します。また、初期導入費用に加えて、安定したシステムの維持や運用にかかるランニングコストも考慮しましょう。

そのため、基幹システムやERP導入による、業務効率化や生産性向上といったメリットとコストを慎重に比較し、投資対効果を明確にすることが重要です。

自社の経営状況を踏まえ、システム導入後に得られる効果を試算した上で適切な予算を設定し、複数のメーカーやベンダーに見積もりを依頼しましょう。

企業規模を考慮する

基幹システムやERPを選定する際は、企業規模に応じた機能やユーザー数の管理が不可欠です。

小規模企業であれば、導入コストを抑えたシンプルなシステムの方が選定しやすく、一方で、大規模企業ではカスタマイズ性やセキュリティ面を重視したシステムの選定が必要になるでしょう。

企業の規模や業務の複雑さによって、必要な仕様や機能が異なります。自社に適切な基幹システムやERPを選定することで、コストを最適化しつつ安定した運用を実現できるでしょう。

ベンダーやITパートナーに相談する

基幹システムやERPの導入には高度な専門知識が求められるため、自社にIT人材がいない場合や少しでも導入に不安がある場合は、ベンダーやITパートナーに相談するのをおすすめします。

現状の業務課題を分析した上で、最適なシステムや導入方法を提案してもらえるため、スムーズな導入と運用が期待できます。

弊社は、設立から40年分のITノウハウを蓄積しており、数多くのSAP運用支援実績があります。SAPの障害対応や機能改善などでお困りの方は、ぜひ弊社のERPソリューションサービスをご利用ください。

基幹システムとERPの導入ポイント

基幹システムとERPのどちらを導入するかは、企業の規模や業務の複雑さ、成長戦略によって異なります。それでは最後に、自社にとって基幹システムとERPのどちらが適切かを判断するためのポイントをご紹介します。

こんな企業は「基幹システム」がおすすめ

基幹システムは、とくに以下のような企業に適しています。

  • 中小企業で事業規模がそれほど大きくない企業

ERPは導入や維持に必要なコストが高く、中小企業の規模に見合わない可能性があるため、必要な業務の効率化に特化した基幹システムの方が適しているでしょう。

  • 業務の種類が少なくシステム統合の必要性が低い企業

たくさんの異なる基幹業務を同時に管理する必要がない場合、統合型のERPよりも、特定の業務を支える基幹システムの方が効果的でしょう。

基幹システムを導入すれば社内の重要な業務にリソースを集中でき、必要最小限のコストで業務効率化を図れます。

こんな企業は「ERP」がおすすめ

ERPは、とくに以下のような企業に適しています。

  • 複数の業務や部署がありそれぞれの連携が不可欠な企業

ERPは業務フローやデータの統合が可能であるため、迅速な情報共有や業務の効率化が実現できるでしょう。

  • 資金に余裕があるためERPへの投資が可能な企業

ERPは高額なシステムですが、長期的に見れば運用コスト削減や業務最適化のメリットがあるため、資金に余裕がある企業には適しているでしょう。

  • 今後の事業拡大を見込んでいる企業

事業規模が拡大するにつれ、基幹システム単体では管理が複雑になるため、将来の成長を見据えた導入を行いましょう。

ERPを導入することで業務の一元管理が可能になり、組織全体の生産性向上につながります。

まとめ

基幹システムとERPの違いは、システムによる業務管理の方法が独立しているか統合できるかという点にあります。また、それぞれに異なるメリットやデメリットがあるため、企業の規模や事業内容に応じた適切な選択が重要です。

事前に業務課題の整理や運用目的を明確にし、計画的に進めることがシステム導入の成功の鍵となるでしょう。

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