システムを開発する職業と言われてどんな職業を思いつきますか?ほとんどの方が「システムエンジニア」と「プログラマー」と思い浮かべるのではないでしょうか。
「システムエンジニア」と「プログラマー」という言葉は知っていても、具体的な業務内容やスキルの違いは明確に理解されていないことが多いようです。簡単にまとめると、システム開発においてシステムエンジニアは上流工程、プログラマーは下流工程を担う技術者のことを指します。
この記事では、システムエンジニアとプログラマーの主な違いを解説し、それぞれの役割を見ていきます。さらに、昨今話題のAIを扱うエンジニアになるために必要なスキルや道のりについてもご紹介します。
システムエンジニアとは主にシステムの設計や開発を行うこと
システムエンジニアは、ITプロジェクトの成功の鍵を握る存在として多岐にわたる役割を果たします。主な業務はシステムの設計や開発ですが、その中でも最も重要な業務は、顧客や関連部署とのコミュニケーションを通じて、具体的な要件やニーズを明確にすることです。これに基づき、最適なシステム構造を設計し、開発計画を立てます。要するにシステム開発においての上流工程を担当します。
また、システムエンジニアは技術的な視点だけでなく、システムを”考える”能力が重要とされています。コストや納期、品質などの制約の中で、最も効果的なシステムを設計する必要があります。このため、システムエンジニアは技術的知識だけでなく、プロジェクトマネジメントやコミュニケーションスキルも兼ね備えている必要があります。企業によっては、システムエンジニアが要件定義からテスト、運用・保守までの全ての工程を担当することもあります。
システムを開発するとき、おおまかには以下のような流れで工程が進みます。上から流れるようなイメージで進んでいくため、要件定義から内部設計までを「上流工程」、開発からテスト、納品などを「下流工程」と呼びます。
要件定義 → 外部設計 → 内部設計 → 開発 → テスト → 納品
上流工程 ←|→ 下流工程
より詳しく知りたい方はこちらからご確認ください。
システム開発の工程と開発依頼時の6つの注意点を解説!アジャイル・ウォーターフォールって?
プログラマーとは主に設計書を基にコードを書くこと
プログラマーは、実装の専門家として設計書を元に具体的なコードを書く役割を担います。設計書は、システムエンジニアやアーキテクトによって作成され、システムの動作や機能を詳細に示す文書のことをいいます。プログラマーはこの設計書を読解し、指定されたプログラミング言語やフレームワークを使用して、それを具体的なソフトウェアとして形にします。
プログラマーの業務は、単にコードを書くだけにとどまりません。コードの品質、効率性、保守性など、多くの要因を考慮しながらプログラミングを行う必要があります。プログラマーは、プログラミング言語の知識やアルゴリズムの理解だけでなく、チームでの協力する場面も多いことからコミュニケーション能力も非常に重要です。設計書は完璧ではないことも多く、実際の実装過程で疑問や改善点が出てくることも少なくありません。そのため、設計者や他のプログラマーとの連携を取りながら、最適なソフトウェアを作成することがプログラマーの使命となります。企業によっては、コードを書く以外にもテストや運用保守を行うこともあります。
システムエンジニアとプログラマーの違い
次は、システムエンジニアとプログラマーの違いについて、業務内容・必要なスキル・将来性の3つのポイントから見ていきましょう。上記でも少し明言していますが、企業によって区別の仕方が違ってきますので、あくまで一般的な分け方としてご確認ください。
システムエンジニアとプログラマーの業務内容の違い
システムエンジニアとプログラマーは、システム開発プロジェクトにおいて異なる役割を果たします。
システムエンジニアの業務内容
システムエンジニアは、プロジェクトの初期段階から関与し、顧客や関連部署とのコミュニケーションを通じてシステムの要件を明確にします。その後、引き出した要件を基にシステム全体の設計を行い、どのような機能が必要で、それらがどのように連携するかなどの大枠を決定します。また、プロジェクトの進行管理や品質保証、リスク管理などもその役割に含まれます。俗に言う上流工程を担当するのがシステムエンジニアとされています。
プログラマーの業務内容
一方、プログラマーは、システムエンジニアが作成した設計書を元に、具体的なコードを書く役割を担当します。設計された機能を実際に動作するソフトウェアとして実現するため、プログラミング言語やツールの専門知識が必要となります。コードの効率性や品質、テストと修正もプログラマーの重要な業務です。プログラマーは、システム開発における下流工程を担当します。
簡単に言えば、システムエンジニアは「何を作るか」を決定し、プログラマーは「どのように作るか」を実現する役割を持っています。
システムエンジニアとプログラマーの必要なスキルの違い
システムエンジニアとプログラマーは、それぞれの役割に応じて異なるスキルを必要とします。
システムエンジニアに必要なスキル
システムエンジニアは、システム全体の設計やプロジェクトの進行管理を行うため、広範な技術知識とともに、高いコミュニケーション能力が求められます。顧客や関連部署との要件定義や調整をスムーズに進めるためのスキルや、複雑なシステムを構築するための設計能力、リスク管理の知識などが不可欠です。
プログラマーに必要なスキル
一方、プログラマーは、具体的なコードを書くことが主な業務であるため、深いプログラミング言語の知識やアルゴリズムの理解が重要とされています。効率的なコードを書くための技術的スキル、デバッグ技術、そして使用するツールやフレームワークに関する専門知識が求められます。また、システム開発はチームで行うことが一般的なため、協調性やコードの可読性も重要視されます。
要するに、システムエンジニアは「全体のビジョンを持ち、多方面との連携を図る」スキルが、プログラマーは「具体的な技術実現を追求する」スキルが中心となります。
システムエンジニアとプログラマーの将来性は明るい
IT業界の急速な進化と拡大に伴い、システムエンジニアとプログラマーの役割は今後も非常に重要であり続けると予想されます。
システムエンジニアは、新しい技術やビジネスモデルが登場するたびに、その技術を取り入れたシステムの設計や適応が求められます。IoT、AI、クラウド技術などの進化に伴い、より複雑で高度なシステムの設計が必要となるでしょう。
一方、プログラマーも、新しいプログラミング言語やフレームワークの登場、そして既存技術の進化に伴い、常に最新の技術を学び続ける必要があります。特に、AIやデータサイエンスの分野では、高度なプログラミングスキルが求められるため、専門性を持ったプログラマーの需要は増加すると考えられます。
総じて、両職種ともに継続的な学びと適応が必要ですが、ITが社会のあらゆる分野に浸透している現代において、その将来性は非常に明るいと言えるでしょう。
AIエンジニアへのステップアップ
IT業界には、これから発展が期待される技術がいくつもあります。そんな技術のうちのひとつ、「AI」は近年まれに見る成長を遂げており、今以上に必要とされる技術であることは間違いありません。これまではシステムエンジニアとプログラマーの違いについてみてきましたが、ここからはAIエンジニアへのステップアップ方法について解説していきます。
AIエンジニアの仕事内容
AIエンジニアの主な仕事内容は、人工知能技術の設計から実装までの一連のプロセスを担当することです。
具体的には、まずデータの収集と前処理を行います。大量のデータを扱うため、データのクレンジングや正規化、特徴量の選択などが必要となります。次に、適切な機械学習モデルの選択と、そのモデルのトレーニングを行います。この段階では、モデルの性能を最適化するためのパラメータの調整や、過学習を防ぐ手法を適用する必要があります。モデルが完成したら、実際のシステムやアプリケーションに組み込む作業を行います。
AIエンジニアに必要なスキル
AIエンジニアとして活躍するためには、多岐にわたるスキルが求められます。
まず、基礎となるのは数学や統計学の知識です。機械学習モデルの背後にある理論を理解し、最適なモデルを選択・調整するためには、これらの分野に対する深い理解が不可欠です。同様に、プログラミングスキルも欠かせません。特にPythonやRは、AI関連のライブラリやフレームワークとして扱われることが多く、PythonやR言語を習熟することが重要視されます。他にも、TensorFlowやPyTorchなどの機械学習フレームワークの使用経験も必要とされています。
AIシステムを開発するためには、顧客のニーズを技術的に解決するための問題解決能力や、チーム内外とのコミュニケーションスキルもとても大事な要素の一つです。技術だけでなく、その応用面での洞察力がAIエンジニアの価値を高めることになります。
AIエンジニアへの道のり
AIエンジニアとしてのキャリアを築くための道のりは、多様でありながらも、一定のステップを踏むことが一般的とされています。
初めのステップとして、PythonやRなど、AI関連の開発に頻繁に使用される基本的なプログラミングスキルを習得しましょう。合わせて、数学や統計学の基礎知識も書籍などで学んで身に着けておきべきです。
次のステップは、専門的な教育やトレーニングを受けることでより深い知識を身につけることです。多くの大学や研究機関がAIや機械学習に関するコースを提供しており、オンラインプラットフォーム上でも質の高い教材が利用可能です。
最後のステップは、実務経験です。学んだ知識は、実践で生かさなければなかなか習得できないものです。プロジェクトへの参加を通じて、実際の業務を経験するし理論と実践のギャップを埋めることができます。
実践の経験で終わるのではなく、AIエンジニアとしてキャリアを築くためには継続的な学びとアップデートが必要です。AIの分野は日々進化しており、最新の技術や手法を追い続け、AIエンジニアとしての価値を高めていきましょう。
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まとめ
本記事では、IT業界の中核をなす「システムエンジニア」と「プログラマー」の違いを中心に解説しました。
・システムエンジニアは、システム全体の設計やプロジェクトの進行管理を担当し、ビジネスの視点からもシステムを考える能力が重要視されます。
・プログラマーは、具体的なコードを書くことを主な業務とし、技術的な実現力が重要視されます。
また、AIエンジニアとしてのキャリア形成には、基本的なプログラミングスキルや数学の知識、そして実務経験が不可欠です。
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