【変更点まとめ】令和5年度 税制改正大綱!インボイス制度への影響をわかりやすく解説

2022年12月16日に公表された令和5年度 税制改正大綱において、円滑・適正な納税のための環境整備のため適格請求書等保存方式(以下、インボイス制度)に関しての見直しが行われました。

インボイス発行事業者の登録申請件数は令和4年 11 月末現在で約 200万者となっているようで、これからもどんどん増えていくことが予想されます。

今回の税制改正大綱では、小規模事業者に向けた経過措置や事務負担の軽減などが新たに発表されましたが、今回見直された範囲は以下の通りです。

  • 免税業者がインボイス登録した場合、3年間納税額を売上税額の2割に軽減する緩和措置「2割特例」
  • 年間課税売上高が1億円以下の企業の場合、1万円未満の仕入・経費のインボイス不要
  • 1万円未満の場合、返還インボイスの交付不要
  • 登録制度の見直しと手続きの柔軟化

具体的にどのような内容に見直しが行われたのか、詳しく解説していきます。

免税業者がインボイス登録した場合、3年間納税額を売上税額の2割に軽減する緩和措置「2割特例」

免税事業者に限り、納税額を売上税額の2割に軽減する軽減措置がなされることとなりました。

これにより、売上・収入を把握するだけで消費税の申告が可能になり、事務負担は大幅に軽減されることになりました。
ただし、猶予期間は3年間です。

例えば、売上が550万の免税事業者の場合、税額である50万円の2割にあたる10万円が納税額となります。

下記、計算サイトでみなし税率80%で計算すると、売上・収入に対する納税額が簡単に計算できます。
簡易課税制度の消費税納税額計算サイト

年間の総収入の2割が消費税の納税額とされ、細かな計算をする必要もなくなり大幅な緩和措置ととることができます。
また事前の届け出も不要で、確定申告時に付記するだけで選択が可能です。

免税事業者にとってはとてもメリットがある緩和措置だと考えられます。

これまで納税不要だった消費税の納税が必要になったことに変わりありませんが、インボイス事業者登録をしなければ、今後は取引先が制限される可能性もあり、事業者登録をするかどうか悩んでおられた免税事業者の方々も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

今回の2割特例の措置は、申請に対して前向きな措置と捉えられます。

年間課税売上高が1億円以下の企業の場合、1万円未満の仕入・経費のインボイス不要

中小企業を含めた、年間課税売上高が1億円以下の企業の場合、1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくとも帳簿のみで仕入税控除が適用可能となります。
期間は、インボイス制度の開始から6年間です。

ポイント

年間課税売上高については基準期間が設けられており、前年、前々事業年度が対象となります。

消耗品や、備品、雑費などが主な対象になり、都度インボイスを保存する際に発生すると予想された手間は幾分解消されるのではないでしょうか。
ただし6年間の猶予措置となりますので、期間内に社内整備やシステム構築を進める必要があります。

特に社員の立替金清算の場合は、インボイス対応済み領収書を取得する際の注意事項など、周知徹底の期間としてもうまく利用していただきたいと思います。

1万円未満の場合、返還インボイスの交付不要

インボイス制度開始とともに事務処理が煩雑になると懸念されていた、少額の値引きや売り手負担の振込手数料について、返還インボイスの発行が不要となりました。

返還インボイスとは、値引きなどの金額や消費税額などを記載した返品伝票のことを指します。

この見直しがなければ、事務処理の負担が非常に大きいのでは、と懸念されていたポイントなので企業にとっては朗報ではないでしょうか。

また、恒久的な措置となりますので、いつか少額でも返還インボイスの交付が必要になるのでは・・・という心配も無用です。

登録制度の見直しと手続きの柔軟化

インボイス事業者登録についての配慮がなされましたが、これまでより複雑になってしまったようです。
登録時は、税務署に確認しながら進めていただくことをおすすめします。

具体的な解説は避けますが、大綱からの引用は以下の通りとなります。

適格請求書発行事業者登録制度について、次の見直しを行う。

①免税事業者が適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、課税期間の初日から登録を受けようとする場合には、当該課税期間の初日から起算して15日前の日(現行:当該課税期間の初日に前日から起算して1月前の日)までに登録申請書を提出しなければならないこととする。この場合において、当該課税期間の初日後に登録がされたときには、同日に登録をうけたものとみなす。

②適格請求書発行事業者が登録の取消しを求める届出書を提出し、その提出があった課税期間の翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合には、当該翌課税期間の初日から起算して15日前の日(現行:その提出があった課税期間の末日から起算して30日前に日の前日)までに届出書を提出しなければならないこととする。
③適格請求書発行事業者の登録等に関する経過措置の適用により、令和5年10月1日後に適格請求書発行事業者の登録を受けようとする免税事業者は、その登録申請書に、提出する日から15日を経過する日以後の日を登録希望にとして記載するものとする。この場合において、当該登録希望日後に登録がされたときには、当該登録希望日に登録を受けたものとみなす。


(注)   上記の改正の趣旨等を踏まえ、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、その申請期限後に提出する登録申請書に記載する困難に事情については、運用上、記載がなくとも改めて求めないものとする。
本内容は、令和5年度税制改正大綱よりインボイス制度に関連する情報をわかりやすく解説したページとなります。令和5年度税制改正大綱

まとめ

今回の見直しでは、免税事業者に向けた緩和措置や、事務処理負担の軽減、恒久的な措置が講じられることとなりました。

現時点でインボイスの事業者登録をするか否かにお悩みの事業者様には、朗報と呼べる内容も含まれているのではないでしょうか。
インボイス事業者登録は、原則令和5年3月31日までに納税地を管轄する税務署用に登録申請書を提出する必要がありますので、お早めの対応が必要です。

インボイス制度開始後には電子帳簿保存法が開始することもあり、この先どのように進めていけばスムーズに事業を展開していけるのかお悩みの企業様も多いと思われます。

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