システム開発とシステム構築の違いとは?混同される理由についてわかりやすく解説

アプリケーションを作成するプロジェクトに参加すると、「システム開発」という言葉「システム構築」という言葉をよく耳にします。開発と構築を比較したとき、イメージでは同じように感じられるかもしれません。しかし、プロジェクトの中で2つは違った意味で使用されることが多いのです。

そこで今回は、今さら聞けないシステム開発とシステム構築の違いについてご説明していきます。どうしてこの言葉は混同されがちなのかについてもわかりやすく解説していますので、是非最後までお読みください。

「システム開発」と「システム構築」の違い

まず初めに2つの言葉の違いをご紹介します。どちらも”何かを作る”というイメージが持てるかと思いますが、厳密に言うと二つは大きく異なります。現場でも二つの言葉は混同して使用されることもありますが、正しい意味を覚えているのといないのでは大きな違いがあります。

システム開発は新しいソフトウェアやアプリケーションを「作る」

システム開発とは、ソフトウェアやアプリケーションをゼロから作り出すことを指します。企業にもよるのですが、主に要件定義、システム設計、コーディング、テストの工程が含まれます。

現場で「開発」という言葉が使われるときは、「何もないところから何かを作成していく」意味で使用されていると覚えてください。

システム構築は既存の技術を「組み合わせてシステムを作る」

システム構築とは、市販のソフトウェアやツール、既に開発されたモジュールやファイルを組み合わせてシステムを作ることを指します。

なお、システム開発の具体的な進め方や工程については、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>システム開発の工程と開発依頼時の6つの注意点を解説!アジャイル・ウォーターフォールって?

モジュールやファイル一つだけでプログラムは動きませんが、組み立てることで私たちが使用するアプリケーションとなるのです。組み立てると聞くと簡単なようにも思えますが、システム開発で作成されたパーツは膨大な数になるためかなりの労力がかかります。この組み立てる工程をシステム構築と覚えてください。

勘違いや言い間違いで混同されてしまう「システム開発」と「システム構築」

今回のように、イメージでは同じでも正確には違った意味で使用される言葉は、時として間違って使用されてしまい現場が混乱してしまうことがあります。システム構築と言われたのに開発を行わなければならなかったり、システム開発と言われていたのに構築まで行うことはよくある話です。そこで改めて指摘する必要はありませんが、なぜこのような事態になってしまうのかをご紹介します。

会議の場での誤った使用

あまり用語を知らない人がリーダーとなり、「このプロジェクトはシステム開発を行います!」などと宣言したものの、実際の作業はシステム構築だった、なんてこともしばしば見受けられます。また、目上の人が間違った言葉の使い方をしてしまうと、若い層にも勘違いして意味が広まってしまい、結果としてどちらが正しい意味なのかよくわからなくなってしまいます。

実際に年配のリーダーに多いパターンが、自身が技術者として働いていた頃にはあまり頻繁に使用していなかった言葉で、システム開発とシステム構築の違いがイメージできていない場合です。このような場合も珍しくないので、作業内容までしっかり聞いておくことがトラブル回避になります。

ネットワーク構築と混同

インフラ業界との関わりのある人であれば、ついつい要件定義の次に行うことは構築であると考えてしまいがちです。ネットワークはすでにあるパーツを構成していく作業であることから、開発という言葉をあまり使用しません。近年、ネットワーク開発という言葉を度々耳にしますが、新しい通信方法を作成しているわけではないので開発は誤りです。

インフラチームに所属している人であればピンときますが、プログラムを作成しているチームのことを「開発」と呼ぶほど、インフラ業務と開発業務は分かれています。しかし、インフラチームと開発チームのどちらも統括しているリーダーなどは、混同して使用してしまうこともあるため意味合いが分かれてしまうことがあるのです。

「システム開発」と「システム構築」はどちらがおすすめ?

用語の違いを理解したところで、実際の「システム開発」の全体像や流れについて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
>> システム開発とは?種類や工程、押さえておきたいポイントを解説

現在エンジニアとして仕事をしている方は、システム開発とシステム構築のどちらをメインに力をつけようかと迷うこともあるでしょう。どちらも大変な作業であり、ものづくりには違いはありませんが、個人によってどちらが向いているのか様々なので、どのような方に向いているのかをご紹介します。

システム開発がおすすめの場合

システム開発がおすすめな方は、コードを書くのが得意、または好きな方です。

日々コードを書いてパーツ作りを行わなければならないため、スラスラとコードを書けなければ時間ばかりが過ぎていくこととなってしまいます。また、言語の文法も難なく出てくる必要があるため、コードを作成することに慣れている方のほうが作業が簡単に、しかもスピーディに行えます。

また、長時間同じような作業を続けることが苦にならい方もシステム開発が向いています。限られた工数の中でひたすらコードを打ち込まなければならず、ミスも許されないため高い集中力が求められます。これらの条件に当てはまったり、どんどんコードを書けるようになりたいと思っている方であれば、システム開発がおすすめです。

システム構築がおすすめの場合

システム構築がおすすめなのは、全体の構成を把握し、パーツを組み上げる作業に注力したい方です。

システム構築では、決められた条件のもとでフォルダ分けやファイル名がつけられた膨大なパーツを扱います。そのため、フォルダ構成を頭の中である程度把握し、必要なファイルへすぐにアクセスできるスキルが求められます。また、単にフォルダ構成を覚えるだけでなく、それらのパーツを「どう組み立てていくか」を具体的にイメージする力も重要です。

もちろん、こうしたスキルは経験を積めば身についていきます。ひたすらコードを書いていくよりも「組み立てる」作業に力を入れたいとお考えの方は、システム構築へ進んだ方がよいでしょう。

システム開発とシステム構築が分かれているとは限らない

この二つの言葉は意味が混同されがちです。そのため、実際の業務もキッパリと分かれているとは限りません。プロジェクトの中にも係がいますが、システム開発もやりつつシステム構築のほうが分量が多い方もいますし、後半までずっとシステム開発だけを行っている方もいます。

また、会社によっては下請けとしてシステム開発のみを行なっているケースも見られます。そのため仕事を選ぶときは、どちらの力をつけたいのかを明確にして取り組みましょう。

単語だけではなく内容まで話すことが混乱を避ける

今回はシステム開発とシステム構築の言葉の違いをご紹介してきました。

メンバー全員が共通認識としてこの2つの言葉を明確に分けられているのであれば良いですが、混同してしまっている方が多いことも事実です。そのため、もし指示を出す立場になった際には、内容までしっかり伝えておくと認識のズレは起こりにくいです。

特に、発注側として依頼を成功させるためには、システム開発依頼を成功させるポイントを押さえておくことが重要です。
>>システム開発依頼を成功させるポイント

システム開発とシステム構築という似たような言葉だけに限らず、日頃から内容を簡潔に伝えられるように意識して指示することができれば、不要な混乱なども少なく指示が明確になるため、プロジェクトの進行もより早くなることは間違いありません。

「相手もこの言葉を知っているだろう」と過信するのではなく、一つずつ確認していきましょう。

プロジェクト成功の鍵は「RFP」にあり

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システム開発とシステム構築の違いに関するよくある質問

Q1:「システム開発」と「システム構築」の決定的な違いは何ですか?

A1:「システム開発」は、ソフトウェアやアプリケーションをゼロから作り出す(創造する)ことを指します。対して「システム構築」は、市販のツールや既に開発されたもの(モジュールやファイル)を組み合わせてシステムを作る(組み立てる)ことを指します。

Q2:なぜ現場では「システム開発」と「システム構築」が混同されがちなのですか?

A2:どちらも「何かを作る」というイメージが似ているためです。 例えば、プロジェクトのリーダーが用語を誤って使用したり、インフラ業務と開発業務の区別が曖昧なまま使われたりすることで、意味が混同されて広まることがあります。  

Q3. 実際のプロジェクトでは「開発」と「構築」のどちらか一方だけを行うのですか?

A3:いいえ、必ずしもそうとは限りません。実際の業務では、両者が明確に分かれているわけではなく、一つのプロジェクト内でシステム開発(ゼロから作る部分)とシステム構築(既存を組み立てる部分)の両方を同時に行うことも多いです。

まとめ

今回は、システム開発とシステム構築の違いをわかりやすく解説しました。

システム開発とシステム構築の違いまとめ
  • システム開発は新しいソフトウェアやアプリケーションを「作る」こと
  • システム構築は既存の技術を「組み合わせてシステムを作る」こと

言葉の意味としては違うものの、使う人によって変化する言葉です。その場で使われているのはどっちの意味だろう?と意識しながら、習得していきましょう。

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