システム開発の工程と開発依頼時の6つの注意点を解説!アジャイル・ウォーターフォールって?

今あなたが使っているそのシステムやアプリは、実際どこかで誰かが開発したものですが、その裏側で動いているシステム開発の工程についてはどれくらい知っていますか?

ここでは、システム開発の各工程、計画からリリースまでの流れ、上流工程と下流工程の関係性について、丁寧に解説しています。さらに、これからシステムの開発を依頼したい人に向けた、システム開発を依頼する時の6つ注意点についてもご紹介します。

この記事を通じて、システム開発に対する理解を深めましょう。

システム開発工程とは?

システム開発工程とは、新しいシステム(ソフトウェア)を作るためのステップのことを指します。つまり、プログラムを作るための段取りや手順のことを言います。

これは、システムの立案から始まり、リリースそしてシステム運用までの一連の流れを定義したものです。具体的には、「要件定義」、「設計」、「実装」、「テスト」、「運用・保守」の5つの主要な段階が存在します。

それぞれの工程は特定の役割を果たし、全体として一つのシステムを構築します。

補足ですが、システム開発でかかる時間は、プロジェクトの規模や複雑さ、開発チームの経験や技術力、使用する開発手法などによって大きく変動します。

簡単なウェブアプリケーションの開発であれば数週間から数ヶ月で完了することもありますが、大規模なシステムの構築には数年を要することも少なくありません。

某銀行のシステムは、約20年ほどかかったと言われています・・・。

それゆえ効率的なシステム開発には、開発期間の適切な管理と各工程の進行状況の把握が重要となります。

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システム開発の全工程

以下、それぞれの工程について適切な管理方法や注意点について解説します。

  1. 要件定義
    システム開発で最も重要な工程である要件定義は、開発すべきシステムの目的や必要な機能、対象ユーザー、必要な性能などを詳細に定義します。
    これらを要件定義書として整理し、開発の土台となる文書を作成します。
  2. 設計
    要件定義で明確にした要件に基づいて、システムの詳細設計を行います。
    具体的には、システムのアーキテクチャ設計、データベースの設計、インターフェースの設計などを含みます。この工程では、開発の効率性とシステムの品質向上に直接寄与するため、詳細な設計と確認作業がとても重要です。
  3. 実装
    設計に基づき、実際の開発言語でプログラムコード(コーディング)を書きます。ここでは、インフラ部分の構築も行われます。一番時間のかかる工程で、開発の胆となる部分です。
  4. テスト
    実装したシステムが要件を満たしているか、また予想外のエラーはないかを検証します。単体テスト、結合テスト、システムテストなどが行われます。発見したバグは修正し、全てのテストが無事通るまで、修正とテストのサイクルを繰り返します。
    テストには大きくわけて4種類の方法があります。詳しくは、上の図を参照ください。
  5. 運用・保守
    システムがリリースされてからは、運用・保守フェーズに入ります。
    システムの維持管理やアップデートの実施、ユーザーサポートなどがこの工程の主な任務となります。また、リリース後のフィードバックや新たに発見された問題点をもとに、必要に応じてシステムの改良も行われます。

システム開発を成功させるためには、各工程の重要性を理解し、それぞれがどのように連携しているかを把握することが大切です。

主要な開発モデル2選

システム開発にはいくつかの開発モデルがありますが、その中でも特に有名で広く使用されているのが、ウォーターフォールアジャイルです。

ウォーターフォール開発

ウォーターフォール開発は、システム開発の工程を一連の段階(要件定義、設計、実装、テスト、運用)に分け、一方向に流れるように進めていく方法です。
各段階が完了しないと次の段階には進まず、すべての段階が一度につずつ順番に進行するという特徴があります。

この開発手法の利点は、工程が明確に区切られているため、各工程の成果物と進行状況がはっきりと分かり、全体の管理が比較的容易であることです。

一方、欠点は前の段階が完全に完了するまで次の段階に進めないため、フレキシビリティが低く、変更に対応しにくいことです。

アジャイル開発

アジャイル開発は、開発工程を小さな単位(イテレーションまたはスプリントと呼ばれる)に分け、各単位で要件定義、設計、実装、テストを繰り返す方法です。

このモデルは変更に対して柔軟で、新しい要件や改善のためのアイデアを随時取り入れることができます。また、顧客のフィードバックを速やかに取り入れ、都度改善できる点も大きなメリットです。

一方、欠点は、全体のスケジュールやコストの見積もりが難しいこと、また、フィードバックを取り入れることにより開発方針がブレやすいところです。

ウォーターフォール開発とアジャイル開発、それぞれには特長と利点、欠点があります。
以下の表にまとめてみました。

どちらの開発モデルにも、メリットデメリットが存在します。
プロジェクトに合った開発モデルを選ぶことが重要だといえます。

上流工程と下流工程の違いとその重要性

システム開発の工程を考える時、上流工程と下流工程という言葉をよく聞きます。これらは何を指すのでしょうか。

上流工程とは?

上流工程は、システム開発の「考える」部分を指します。
具体的には、プロジェクトの目的を明確にしたり、何を作るのか(要件定義)、どう作るのか(基本設計、詳細設計)を考える工程を指します。

上流工程で設定した要件や設計がその後の開発工程全体に大きな影響を及ぼすため、ここでしっかりと考えることで、効率的な開発が可能になり、品質の高いシステムを生み出すことができます。

下流工程とは?

一方、下流工程はシステム開発の「作る」部分を指します。
具体的には、設計に基づいて実際にシステムをプログラムする(製造)、そのシステムが正しく動作するかを確認する(テスト)、そしてユーザーに使ってもらう(リリース、運用)工程を指します。

ここでは、検出されたバグの修正やシステムの改善も行われます。提供する製品などの使いやすさやパフォーマンスを向上させるために欠かせない工程となっています。

上流工程と下流工程はそれぞれ重要な役割を持つ一方で、連携して動くことで、システム開発全体の成功に繋がります。

システム開発を依頼する時の6つの注意点

では、システム開発を専門家に依頼する場合の注意点を、6つのポイントに分けて見ていきましょう。

  • 要件は明確に
    システム開発は要件に基づいて行われます。要件とは開発するシステムの目的、機能、性能などを具体的に明確化してまとめることで、開発者にとっての「作業指示」のようなものです。要件が明確でなければ、開発者は何をすべきかを理解できず、期待通りのシステムが完成しない可能性があります。したがって、依頼者としては、要件をできるだけ具体的に、そして詳細に伝えることがもっとも重要です。

  • 積極的にコミュニケーションを取ろう
    システム開発は一方通行の作業ではありません。先方から進捗報告や質問があった場合、それに対して適切なフィードバックを返すか否かで出来上がってくるシステムが大きく左右されると考えておきましょう。問題が発生した場合は、解決に向けて積極的に会話をすることが大事です。

  • 契約内容を理解する
    システム開発を依頼する際には、開発費用、納期、保証期間など、契約内容をきちんと理解する努力をしましょう。不明な点があれば先方に確認し、理解した上で契約を結ぶことが望ましいです。また、契約内容を遵守しているかどうかも、定期的に確認する必要があるでしょう。

  • 納期と費用の妥当性を確認する
    システム開発の納期と費用は、プロジェクトの成功に直結します。依頼者としては、開発者から提出される見積もりの妥当性を、確認する必要があります。見積もりが明らかに安すぎる場合や納期が極端に短い場合などは、品質に問題がある可能性があるため、注意が必要です。

  • 提案内容を吟味する
    システム開発では、使用する技術やツールが大きな影響を与えます。提案される技術について、その適用理由と利点・欠点を十分に理解した上で受け入れましょう。もし自身で判断が難しい場合には、第三者の意見を求めるなどして、最適な技術であるかどうかを確認するようにしましょう。

  • 信頼関係を構築する
    先方との信頼関係を築くことで、コミュニケーションが円滑になり、開発プロジェクトが順調に進行する可能性が高まります。予定通りにミーティングを実施する、開発者の意見を尊重する、問題が起きた場合には共に問題解決に取り組むなど、”一緒に一つのシステムを作り上げる”といった積極的な姿勢が理想です。

以上6つの注意点を心に留めてシステムの開発依頼を行うことで、期待通りの成果を得る可能性が高まります。

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まとめ

以上、システム開発工程についてご説明しましたがここで再度ポイントを確認しましょう。

  • システム開発工程: 要件定義、設計、実装、テスト、リリースという5つの工程で構成されています。
  • 開発手法の選択: プロジェクトの特性によって適切な開発モデル(ウォーターフォールかアジャイル)を選ぶことが肝心です。
  • 上流工程と下流工程: システム開発では上流工程の重要性が特に高まっています。成功の鍵はしっかりとした要件定義にあります。
  • 依頼時の注意点: 成功のためには明確な要件、適切なコミュニケーション、信頼関係の構築、提案内容の吟味、納期と費用の妥当性確認などの点で注意が必要です。

システム開発は複雑な工程ですが、しっかりと理解した上で進めれば、スムーズな進行と良好な結果を得れます。今回学んだ知識を活かして、ぜひシステム開発プロジェクトに臨んでください。

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