Web3.0時代!DAOに直面する4つの課題|基本知識やメリットデメリットを解説

近年、web3.0やDAOについての認知度が少しずつ高まりユーザーも増えるなか、政界や経済界からも高い注目を集めています。そんななか、日本のWeb3.0やDAOの環境は、法律問題や環境面からみてもまだまだ黎明期にあるといえます。

この記事では、DAOの基本知識、DAOならではのメリットやデメリット、DAOの抱える課題について詳しく解説していきます。

既存のDAOサービスに新規で参加を検討されている方や、DAOで何かチャレンジしてみたい方は、DAOの背景にある知識や課題を学ぶことから始めましょう。

DAO基本知識

従来の株式会社などの組織とDAOの組織の意思決定の違いを図解

DAOの正しい名称は、「Decentralized Autonomous Organization」となり直訳すると「自律分散型組織」です。

一般的な「株式会社」などの組織は組織のリーダー(社長)が存在するものですが、DAOではリーダーは存在せず、参加メンバーの投票で意思決定が行われます。

DAOの意思決定に関与するためには「ガバナンストークン」と呼ばれるものが必要で、このガバナンストークンの所持数に応じて投票権を得られます。

DAOの目指すところは、誰か一人の人間が管理することなく全員で意見を出し合って決定を下し取引を進められる、「自分たちだけの組織」を作ることです。

DAOとWeb3.0との違いは?

Web3.0とは、次世代のインターネットを指しています。

Web3は、現在利用されているインターネット形態であるWeb2.0の問題点を改善するために、ブロックチェーンや分散型技術を活用して構築された新しいウェブの形態です。DAOはWeb3の一部として、透明性のある組織運営を促進できる手段として用いられる、新しいネットワーク型の組織です。

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DAOはなぜ注目されているのか

ではなぜDAOに注目が高まっているのか、主な理由を2つ挙げることができます。

透明性のある組織構造

DAOでは、スマートコントラクトやブロックチェーンを活用して、透明性の高い分散型の意思決定プロセスを実現します。

ブロックチェーンは分散型台帳技術と呼ばれ、ネットワーク上で、同じ台帳(データベース)を各参加者が管理・共有できる技術です。分散型台帳は、データの改ざんが困難な構造となっています。また、スマートコントラクトとはデジタル形式で指定された契約を自動的に実行する仕組みを指します。スマートコントラクトはブロックチェーンに組み込まれることで、信頼性とセキュリティを高め、取引の透明性を確保します。

プロジェクトが民主的

DAOは誰でも参加できる開かれたプラットフォームです。

個人やグループがアイデアを持ち寄り、プロジェクトに参加できます。プロジェクトの進行や意思決定はルールに基づいて行われるため、ひとりひとりの頑張りが評価され、民主的な環境が生み出されます。

DAOは、NFTや暗号資産、メタバースとの親和性も高く、新興サービスが各国で発展しています。

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DAOのメリットとは?

実社会の一般組織とは異なる、DAOの組織的なメリットについて解説します。

資金調達方法が実社会の調達と比べて容易

DAOの基本的な資金調達方法は、ガバナンストークンの入手です。

DAOでは、実社会のように銀行から資金調達するのではなく、DAO運営元や仮想通貨取引所から一定の条件を適切に満たした場合にトークンを入手することが可能です。この審査の違いなどの観点から評価して、DAO組織の方が資金調達が容易にできるといえます。

中央管理者が不在

DAOでは、ブロックチェーン技術の分散化とスマートコントラクトの活用により、中央管理者不在となる構造を持っています。

スマートコントラクトはあらかじめ決められた条件に基づいて動作し自動処理が進みます。このため、中央管理者が不在でも運営されるのです。
また、手続きが簡素化されることから、効率的な運営が実現できます。

匿名で利用可能

DAO内では匿名性を保つ特性を持っています。
場合によっては国をこえての参加や自由な意見表明が行える利点があります。

DAOのデメリットや注意点とは?

DAOを利用する中で、DAOならではの気になるデメリット・注意点について解説します。

意思決定やプロジェクト実施に遅れが生じる可能性

DAOは誰でも参加できる組織形態であるものの、事業やプロジェクトに参加する人物の知識や理解の程度によってプロジェクトや意思決定に遅れが生じる可能性があります。

現実の組織においては、知識や経験が豊富なリーダーが意思決定を進め、知識やスキルを持つ社員が事業やプロジェクトを進めます。この点において、意思決定や施策実施について時間的な精度にムラが生じる可能性があります。

セキュリティリスクの懸念

DAOは、改ざんに対する耐性の高い技術のブロックチェーンを利用しています。

しかしながら、2016年にイーサリアム上で運営されていた分散型投資ファンド「The DAO」でハッキングが行われて、集められた約30%の資産がハッカーによって盗まれる事件がありました。

この事件から学ぶべき教訓は、セキュリティ技術がどんなに進歩していても、ガバナンストークンのような価値の高い暗号資産がターゲットにされ、ハッキングされる危険性は今後も存在し続けるということです。

日本の法整備が足踏み状態

日本では、法律面や運営面で影響のある関係省庁が、DAOに関する継続的な研究内容をネット上に公開しています。

DAOはインターネット上で新たに形成される組織の形態で、これまでの「株式会社」などの組織の運営方法とは全く違います。
日本では、この新しい組織形態に対する税制など法律のルール作りはまだまだ始まったばかりで、これからより研究を進め、ルールを詰めていく段階です。残念ながら、他の国々と比べると日本のDAOに関するルール作りはまだ進んでいないと状況です。

しかし米国では、2022年の初めから多くのDAO組織が法律に従って正式な会社として認められるようになり、実際にビジネスを行っているのです。

今後は、DAOの法整備が進んだ国のDAO市場への影響を評価したうえで、準備が整った段階で新しい法が施行されるものと考えられます。

DAOが抱える4つの課題

DAOには課題がいくつもまだ山積しています。その中で代表的な課題を4点とりあげ解説します。

日本におけるDAOの法的課題

日本におけるDAOに関する法律は、組織形態の法的定義が決まっていないことや、金融規制や会計処理、課税関係の枠組みが整っていない課題があります。日本のWeb3・DAOビジネスを進展させるためには、具体的な法の整備・施行が必要です。

法整備・法人化によってDAOが変化する可能性

DAOは、Web3環境の特性を活かしたこれまでとは違った新しい形態を持っています。前述の指摘とは逆に法整備や法人化されることで、DAOが持っている魅力や独特の考え方、システムが変化しまうのではないかと心配する声が聞こえます。

投票システム内における影響力と懸念

DAO内における決定は投票を通じて行われます。意見の相違や利益相反がある場合、多くの人々の間で合意を得るのが難しくなることがあります。

投票は一人一票ではなく、トークンの所持量に応じて決定されるため、トークンを多く所持している場合には組織の上位に位置することが多いとされています。このためトークンを多く保持する悪意を持った富裕層がいた場合、組織のコントロールを左右する可能性も懸念されます。

参加者に高いリテラシーが必要

DAOは開かれたプラットフォームであるものの、参加するためには高いリテラシーが求められます。そのため、まだ参加していないが興味を持っている人々への障壁になる可能性が高いです。

例えば、求められるリテラシーの中に、暗号資産の取り扱い方、手数料(通称:ガス代)の仕組み、詐欺などのトラブルに対する見識、セキュリティについてなど多数あります。

5. まとめ

Web3上で実現するDAOには、民主的で開かれた組織を効率的に繁栄させる可能性を秘めています。

NFTや暗号資産、メタバースとの親和性も高くマーケットの展開に多様な可能性があります。政界や経済界からも、web3の国内マーケットの進展、海外マーケットへの展開も視野に置き議論検討が進められています。

一方で、下記に列挙する課題もあります。

  • 日本におけるDAOの法的課題
  • 法整備・法人化によってDAOの変質
  • 投票システム内における影響力と懸念
  • 参加者に高いリテラシーの要求

ユーザー個人に対して求められる課題は、上記のように事前に学ばなければならないリテラシーがあります。この壁を乗り越えることができれば、DAO内のメンバーになれるでしょう。

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