DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、ITの活用によって、業務プロセスや経営モデルを変革し、新たな価値を生み出すことを指します。変革の狙いは、時代が変化しても市場で勝ち残っていくために自社の競争力を向上させることにあります。
DXに取り組みたいけれど、失敗してしまいそうで怖いと不安を抱えている方は、DXの概要や課題について理解できていない可能性が高いといえます。
この記事では、DXの概要や課題、失敗してしまう場合の原因などについて解説していきます。これからDX推進に積極的に取り組み、成功を収めたい方はぜひ参考にしてみて下さい。
日本におけるDXの課題
世界中でDXが推進されるなか、日本は大きく後れを取っていると言われています。まずは、日本におけるDXの課題を3つご紹介します。
DX人材が足りていない
1つ目の課題は、DX人材が足りていないことです。DX推進に取り組む企業は多いのですが、ほとんどの企業ではDX人材が足りないといった課題にぶつかります。
データを使って業務改善に向けたプロジェクトに取り組んだり、マーケティングに対する戦略を立てたりするためには、IT分野の知識だけでなく、組織のマネジメントスキルが必要不可欠です。そのような知識や技術を持った人材が揃っている企業は少なく、結果的にDX人材が足りないといった課題にぶつかってしまいます。
知識やスキルを有する人材を社内で育てられない理由には、”育てるためのノウハウ”が社内に蓄積されていないことが挙げられます。DX推進自体を外部企業に完全委託している場合などは、ノウハウを自社に蓄積できず人材を育てられません。
また、DXを推進するにあたり活躍する人材は、DXについて十分に理解しているだけでなく、持ち得る知識をどのようにDX推進に活用していくかが問われます。ですが、上記のようなDXに関する知識を保有している人材は市場にも多くないため、DX人材の確保に困っている企業も多いのです。
そのため、DX人材を確保するには、外部研修を用いて社内人材を育てる、新たにDX人材を採用する、ITに関する知識やリテラシーのある外部人材に委託するなどの手段を取るのが効果的です。どの手段を取るにしても、自社が求めるDX人材とはどのような人材なのか、どんなスキルを有する人材が足りていないのかをしっかりと理解しておきましょう。
明確な経営戦略がなくIT化で終わってしまう
2つ目の課題は、明確な経営戦略が定まっておらず、IT化だけで終わってしまうことです。
DXでどんなことを実現させたいのか、実現させるためにどのような手段を取るのか、といった経営戦略を明確に定めないままITツールを導入してしまうと、結局は単なるIT化で終わってしまいます。
DXとは企業の根底から変革を起こすもので、手間がかかる業務をIT化して便利にすることではありません。もちろん、この”手間がかかる業務をIT化する”ということもDXのうちのひとつなのですが、これは目的ではなく、あくまでDXを達成するための手段のひとつなのです。
明確な経営戦略があれば、全体像のうちのひとつにIT化があると示すことができ、目的であるDXに向かって他に必要な取組を推進していくことができます。
明確なゴールを設定し、全社で同じビジョンを掲げることがDX成功への足掛かりとなります。
既存システムがブラックボックス化している
3つ目の課題は、既存システムがブラックボックス化していることです。システムがブラックボックス化するとは、誰もが触りたくないと思うほどの複雑なシステムのことを指します。
日本企業にありがちな話ですが、便利な機能をどんどん追加していったことによりシステムが複雑化し、更には退職などで担当者が変わることで、どのようなロジックで組まれたシステムなのかが見えなくなっていきます。特に古くからある大手企業ではこの問題が顕著で、ブラックボックス化された既存システムから脱けだせない企業が多くあります。
また、システム管理そのものを完全に外部に委託している企業も多く、自社内でシステムについて理解できているエンジニアがおらず、ブラックボックス化が進行し続けている企業も少なくありません。
DX推進には、まずはブラックボックス化したシステムを紐解いていく必要があります。
企業がやってしまいがちな失敗
これまで多くの企業がDX推進に取り組みましたが、結局失敗に終わった企業も数多く存在します。ここでは、企業がやってしまいがちな失敗のTOP2を見ていきます。これからDX推進に取り組む担当者の方は、是非覚えておいてください。
新システムの導入で満足してしまう
1つ目のやってしまいがちな失敗は、新システムの導入で満足してしまうことです。
自社に適している新システムを導入しただけで満足してしまう企業は少なくありません。しかし、それだけでは先述したようにIT化で終わってしまいます。今あるプロセスを変革し、いかに新しいサービスを生み出すかという視点が欠けていると、せっかくの取り組みが水の泡になりかねません。DX推進の過程で新システムを導入する際は、DXで実現したい目標を明確にしたうえで、適したシステムを導入しましょう。
また、その後の運用管理を外部に丸投げすることもご法度です。
管理や運用をすべて外部委託することはリソース確保や効率面でも是非おすすめしたい点ですが、丸投げしてしまうことで結果的にDX推進が失敗に終わってしまう恐れがあります。DXは1度取り組んで終わりなのではなく、繰り返し取り組んでいくことで変革を起こしていくものなので、常に状況の把握が必要になります。外部委託する場合でも、少なくとも一人は自社から専門要員を立てておき、週に1回、月に1回などの定期的な報告で小さな出来事も把握しておきましょう。
経営層がDXについて本質的に理解できていない
2つ目のやってしまいがちな失敗は、経営層がDXについて本質的に理解できていないことで起こります。
実は失敗例で最も多いのが、経営層がDXについて本質的に理解できていないまま取り組んでしまうパターンです。DXでは、ただ単に日常における業務をシステム化させデータを集めるものではありません。本来DXというのは、企業のビジネスに対する取り組み方を根底から変革することを言います。
経営層が他社のDX推進による成功事例を聞き、自社にも取り入れたいと感じたとしても、まずはDXについて十分に理解しなければなりません。社員に対し分かりやすく伝えられない程度の知識では、経営者も社員も理解が曖昧のままDX推進に取り組み、失敗してしまう可能性が高くなります。
安易にDX推進に取り組むのではなく、しっかりとDXについて学んだ上で明確な経営戦略を立て、DX推進に取り組んでいきましょう。
DX推進で失敗しないポイント
ここまでDXの課題や、DXを推進するうえでやってしまいがちな失敗をご紹介しました。ここからは、DX推進で失敗しないためのポイントを3つに分けてご紹介しますので、是非取組のヒントにしてください。
経営層を中心にビジョンを明確にする
1つ目の失敗しないためのポイントは、経営層を中心にビジョンを明確にすることです。
DXでは、取り組む前に目的やビジョンを明確にすることが成功の秘訣となりますが、ただ設定するだけでなく、ビジョンを明確にする時には経営層を中心に決めることがポイントです。
DXでは個別業務を効率化したりデジタル化したりすることに加え、ビジネスモデルや社内制度といった部分まで変革に取り組みます。そのため、DX推進を成功させるにはITに関する知識やスキルを保有する人材に限らず、経営権を有する絶対的なリーダーが不可欠です。
経営層を中心にビジョンを明確にすることで、DXの経営面での意義や取り組む上での方向性が定まります。これによりトップダウンでの指示が出しやすくなり、全社で一丸となったDXが進められます。
どういった理由からDXに取り組むことにしたのか、どんな効果を望んでいるのかといったDXに取り組むビジョンを全社で明確に共有し、新たなビジネスモデルに移行していくのがDXを実現するポイントです。
ミニマムからスタートする
2つ目の失敗しないためのポイントは、ミニマムからスタート(スモールスタートともいう)することです。
はじめから大きく全社的な改革を行おうとするよりも、身近で気軽に取り組めるものからミニマムにスタートすることがポイントです。個別の業務をデジタル化したり、既存のデータを活かしたりといった小さくはじめやすいものから取り組み、試行錯誤しながらDXのスキルやノウハウを身に付け、少しずつ大きな変革に取り組んでいきましょう。
進歩していく中でツールを導入したり、サービスを使ったりするだけでなく、自社が求める理想に適したサービスの開発にも取り組むことで、よりDXの効果を実感できます。
DX人材を育成・採用してDX推進の歩みを止めない
3つ目の失敗しないためのポイントは、DX人材を育成・採用してDX推進の歩みを止めないことです。
ここまで解説してきたように、DXに取り組むためにはDX人材が必ず必要になります。社内でDX人材を育成し、より専門的な知識やスキルを所有する人材を増やせれば、DXを実現できる確率が格段に上がります。
日常の業務プロセスは、時代に適応しつつ変化が必要なため一度DXを実現すれば終了というわけではありません。DXに成功した後も、業務の改善に繰り返し取り組んでいくことが大切なのです。
そのためにも、自社でDX人材を育成することは必須事項でしょう。
しかし、いざ育成しようと思っても教育に多大なコストがかかったり、十分なDX人材に育成できるまでに多くの時間を要してしまったりといったデメリットも存在します。
そのため、少しでも早くDXに取り組みたいという方は、IT知見も豊富委託業者への外注がおすすめです。外注する際は所有スキルや経験のみで決めずに、社内教育を実施してもらえるか、フォローアップが受けられるかといった点に着目し検討してみて下さい。
DX推進の課題まとめ
DX推進の課題として、主に日本特有課題をピックアップしました。海外に比べても、独特なシステム構造があることが理解できますね。
- 日本におけるDXの課題
- DX人材が足りていない
- 明確な経営戦略がなくIT化で終わってしまう
- 既存システムがブラックボックス化している
- DX人材確保には、外注がおすすめ
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