Salesforceと基幹システムの連携課題とは?

Salesforceを導入しても基幹システムが未連携の状態では、部門間での情報の分断や業務の効率低下を招きます。本記事では、自社に最適なSalesforceと基幹システムの連携手法を選ぶための判断基準を解説します。この記事を読むことでSalesforceと基幹システムの連携不足で生じる業務の課題と、連携によって得られるメリット、継続運用を見据えた設計のポイントを整理できます。

目次

Salesforceと基幹システムの連携不足で生じる業務課題

Salesforceは営業活動の可視化や顧客管理の高度化を支える強力なツールですが、基幹システムとの連携が不十分な場合、新たな業務課題を生む要因にもなります。ここでは、Salesforceと基幹システムが連携されていないことで起こる3つの課題について解説します。

営業部門と管理部門の間で顧客データが二重管理になる

Salesforceと基幹システムが連携されていない場合、営業部門と管理部門で顧客情報が別々に管理される二重管理が発生します。営業部門はSalesforce上で商談や活動履歴を更新し、管理部門は基幹システムで請求や契約情報を管理しているため、同一顧客のデータが各システムに分散する状態となり、最新の内容が共有されにくくなります。

その結果、システム間で登録情報の食い違いが生じるケースも珍しくありません。いずれのシステムが最新情報を保持しているかの判別が困難になり、その都度、部門間で事実確認が必要になることもあります。

こうしたシステム間の情報のズレを手作業で補おうとすれば、その作業自体が現場の負担となり、入力ミスのリスクが高まるだけでなく、ミスの修正対応にも追加工数が発生して組織全体の生産性を損ねます。

更新漏れや入力タイムラグが顧客対応の質を下げる

システム間の連携が不十分な環境では、手動のデータ入力や転記作業に伴う更新漏れや、入力の遅延が起こりやすくなります。入力作業自体も担当者の負担となり、本来の業務に充てる時間を圧迫する点も課題です。

そして、営業担当者が漏れなくSalesforceに情報を入力していたとしても、基幹システムへ即時反映されない場合、管理部門や経理部門はしばらくの間、古い情報を参照することになります。タイムラグが顧客対応の遅れや誤対応を引き起こせば、顧客満足度の低下に直結します。たとえば、カスタマーサポート部門が問い合わせを受けた際、最新の購買履歴や契約情報を即座に確認できなければ、対応品質は低下せざるを得ません。

Salesforceの活用が進むほど深刻化する、データ連携の運用負荷

Salesforceの活用がSales Cloud・Service Cloud・Marketing Cloudなどへ拡大するにつれて、ERP・MA・会計システム・在庫管理システムなど連携すべきシステムも多岐に広がり、運用負荷も増大していきます。

運用初期は手作業で対応できていた情報を同期させる作業も、活用が拡大するに伴い現実的ではなくなります。さらに、連携先が増えるたびにAPIなどで個別対応していると、接続経路が乱立し構成が複雑になっていきます。その結果、障害発生時の原因特定が困難になり、日々の保守やメンテナンスの負荷が著しく高まる「スパゲッティ状態」(システムが複雑に絡み合って全体像が把握できなくなる状態)に陥るケースも少なくありません。

Salesforce連携でよくある4つの方法とそれぞれの特徴

Salesforceと他システムを連携する方法はひとつではなく、目的やデータ量、リアルタイム性の要件などによって適切な手段が異なります。自社の要件に合致しない手法を選択した場合、将来的な運用負荷の増大や拡張性の欠如を招くリスクがあります。そこで、Salesforce連携でよく用いられる代表的な4つの方法と、それぞれの特徴や注意点を解説します。

Data Loaderを使ったCSVベースのバッチ連携

Salesforce提供の公式ツールである「Data Loader」は、CSVファイルを介してデータのインポートやエクスポートを行います。インポートする際は、取り込み方法を選択してCSVファイルを指定するだけでデータをSalesforceに反映でき、エクスポートする際もSalesforceからCSVを出力できます。

この方法は、操作が比較的簡単で追加開発も不要なため、初期導入時のデータ移行や、まとまった件数のデータを一括で取り込みたい場合に適しています。一方、基本的にはデータ更新のたびに担当者によるツールの操作が必要となるため、データ連携を頻繁に行うと作業負荷が増大します。ファイルの取り扱いや更新タイミングの管理も属人的になりやすく、入力ミスや更新漏れといったヒューマンエラーのリスクが高まる点がデメリットといえるでしょう。

Salesforce APIを利用したリアルタイムの個別開発連携

手作業を介さず、システム間で自動かつリアルタイムにデータを同期させたい場合に有効なのが、APIを活用した個別開発です。Salesforceが提供する主要なAPIにはREST APIやSOAP APIなど複数の種類があり、外部システムとリアルタイムでデータ連携することが可能です。

たとえば、REST APIは軽量で柔軟な連携に適しており、主にJSON形式でデータをやり取りするため、Webアプリやモバイルアプリとの親和性が高いのが特徴です。標準的なAPIとして広く利用されています。SOAP APIは、厳密な型定義を必要とするシステムとの連携に適しています。

REST APIやSOAP APIなどを活用した活用した個別開発では、自社の業務要件に合わせた細かな制御や最適化が可能です。ただし、接続先のシステムごとに個別開発が必要となるため、連携数が増えるほど開発やテスト、保守のコストがかかります。前述の「スパゲッティ状態」を招きやすく、将来的な変化への対応が難しくなる点に注意が必要です。

ETLツールによるデータ変換と一括取り込み

ETLツールは、複数のシステムからデータを抽出(Extract)し、必要な形式に変換(Transform)したうえで格納(Load)するためのツールです。主に大量なデータのバッチ処理やデータウェアハウスへの集約に強みを持ち、異なるフォーマットのデータを統一的に扱えます。そのため、Salesforceと基幹システム間で定期的にデータを同期したい場合には有効な手段となります。

一方で、ETLツールはデータの移動と加工に特化しているため、従来型のバッチETLは、一定間隔でデータをまとめて処理する仕組みであるため、リアルタイム性が求められるデータ連携や、業務プロセス全体を横断する柔軟な制御には対応しにくいといえます。そのため、用途が限定されることや、運用面でバッチ型ETLの特性に合わせた工夫が必要になる可能性がある点には注意が必要です。料金体系は製品によって異なりますが、ランニングコストがかかる点も考慮が必要です。

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iPaaSによる複数システム横断の統合連携

iPaaS(Integration Platform as a Service)は、クラウド上で複数のシステムを統合的に連携するための基盤です。Salesforceだけでなく、ERPやMAなど異なる複数のシステムを一元的に接続し、データ連携やプロセス自動化を実現できます。クラウド上のSaaSとオンプレミスの基幹システムを横断して接続できる点も大きな特徴です。

iPaaSを利用すれば、APIの管理やデータ同期、ワークフロー自動化を一元的に設計・運用でき、個別開発に比べて運用の一貫性と効率性が向上します。連携先が増えるほど一元管理による恩恵は大きくなり、システムが各所で孤立するのを防ぎ、組織全体でのデータ活用を円滑にします。

ただし、導入には一定のコストや設計スキルが必要です。自社の規模や要件に応じて必要な機能に絞り、スモールスタートから始め、段階的に連携範囲を広げていくのが良いでしょう。

上記のような連携方法のほか、システム連携を始める際におすすめの「小さく初めて大きく育てる」という考え方について、下記資料で詳しく説明しています。あわせてご覧ください。

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自社に最適なSalesforce連携の手法を見極める3つの判断基準

ここまで4つの連携手法を紹介してきましたが、自社に適した手法を選ぶには、単に機能やコストだけで比較するのではなく、業務要件や将来の運用まで見据えた判断が欠かせません。ここでは、連携手法の選定にあたって押さえておきたい主要な判断基準を解説します。

データ同期の頻度とリアルタイム性の要件を明確にする

Salesforce連携を検討する際は、まず自社で必要なデータ同期の頻度とリアルタイム性の要件を整理しましょう。業務によって求められるスピードは大きく異なり、日次や時間単位のバッチ処理で十分なケースもあれば、即時反映が不可欠なケースもあります。

たとえば、在庫数と連動した受注処理では、情報の遅延が機会損失や受注ミスにつながるため、リアルタイム連携が求められます。一方、月次レポート用のデータ集計であれば、定期的なバッチ処理でも対応可能なケースも多いでしょう。リアルタイム連携は実装のコストやシステムの負荷が高くなる傾向があるため、業務ごとの要件を見極め、必要な性能の連携を選ぶことが、コストと運用の最適化につながります。

連携先のシステム数と将来的な拡張性を見据える

連携対象となるシステムの数と将来的な拡張性も重要な判断基準です。現時点での連携するシステムが1、2個程度であれば、APIによる個別開発でも十分対応できるでしょう。しかし、今後SaaSの追加導入や部門展開により連携対象が増えていく場合は、拡張性の高い連携基盤を選択するのが望ましいといえます。

その場しのぎの個別開発を積み重ねると、システム間の連携が複雑化し、改修や保守の負担が大きくなります。一方、最初から統合基盤を導入すれば、初期コストは個別開発より高くなったとしても、長期的には運用効率や柔軟性の面で有利です。したがって、目先の要件だけでなく、中長期のシステム戦略を踏まえて選定することが重要です。

情報システム部門の運用体制と現場のスキルセットを考慮する

情報システム部門の体制や現場のスキルセットも重要な判断基準です。APIによる個別開発は柔軟性が高い一方で、開発後もエンジニアによる継続的な保守・運用リソースを必要とする側面があります。これに対し、ノーコードやローコードで設定可能な連携ツールであれば、エンジニアでなくとも運用できるなど、属人化を防ぐ有効な手段となります。

特に、専任のエンジニアがいない企業の場合、属人化の防止や安定運用の観点からも、無理のない運用体制に合った手法を選ぶことが重要です。

活用シーンで見るSalesforce連携の導入前と導入後

Salesforceと基幹システムを連携することで、企業の業務はどのように変化するのでしょうか。具体的な活用シーンを例に、日常業務で発生しがちな非効率や課題が、連携によってどのように解消されるのかを解説します。

見積から受注までの営業プロセスを自動化しリードタイムが短縮する

Salesforceと基幹システムを連携していない場合、営業担当者がSalesforceで作成した見積情報を基幹システムへ手作業で再入力し、受注処理を行うケースが一般的です。この作業は時間と手間がかかるだけでなく、入力ミスや処理遅延が起こりやすいことが課題となります。

連携後は、商談ステータスが「受注」に更新された時点で基幹システムへ自動連携され、受注伝票が即座に生成されます。転記作業が不要となり、受注後の工数が削減され、リードタイムの短縮につながります。営業担当者はデータの入力作業から解放され、本来の営業活動に注力できます。

問い合わせ対応がワンストップで完結し、対応スピードが向上する

連携前は顧客からの問い合わせがあった際、Salesforceの顧客情報と基幹システムの購買履歴を別々に確認し、それらを突き合わせて対応しているというケースが多く見られます。そのため回答までに時間がかかり、対応品質にもばらつきが生じがちです。

連携後は、Salesforceのカスタマーサービス画面上に購買情報や出荷情報がリアルタイムで表示されるため、担当者はひとつの画面で必要な情報を把握できます。これにより迅速かつ正確な対応が可能となり、顧客満足度の向上につながります。

Excel集計から解放され、データドリブンな経営判断ができる

連携前は、月次の売上集計を行うにあたって、Salesforceの商談データと基幹システムの売上実績をExcelで手動でマッチングする必要があります。そのため、レポート作成に数日を要することも珍しくありません。このような手作業中心のプロセスでは、タイムリーな経営判断は困難です。

連携後は、基幹システムの売上実績データがSalesforceに自動で同期され、ダッシュボード上で常に最新の数値を可視化できます。これにより、経営層はリアルタイムのデータに基づき、迅速かつ的確な意思決定を行えるようになります。

Salesforce連携を成功させるために押さえておくべき設計のポイント

Salesforceと基幹システムの連携は、単にデータをつなぐだけではなく、全体最適を見据えた設計が成功の鍵を握ります。場当たり的に連携を構築すると、運用開始後のデータ不整合や業務の混乱を招き、かえって負担が増大するケースも少なくありません。この段落では、連携プロジェクトを円滑に進め、長期的に安定運用するために事前に押さえておくべき設計のポイントを解説します。

連携するデータ項目と同期の方向を最初に定義する

連携設計の初期段階で重要なのが、「どのデータを」「どの方向に」連携するかを明確にすることです。たとえば、Salesforceから基幹システムへ連携するのか、基幹システムからSalesforceへ連携するのか、あるいは双方向で同期するのかによって、設計や実装の方法や難易度が変わります。

このような連携項目や同期方向の整理が曖昧なまま開発を進めてしまうと、必要な項目が連携されていない、同じデータが複数回更新されるといった問題が発生します。結果として、後からの修正に多大な工数を要し、プロジェクト全体の遅延や追加コストを招くおそれがあります。連携前に、連携するデータ項目と同期の方向をしっかりと整理しておくことで、これらの問題を回避できます。

マスターデータの管理元を決めて重複登録を防ぐ

もうひとつのポイントは、顧客マスタや商品マスタといった基幹データについて、「正」となるシステムを決めておくことです。これを整理せずに連携を行うと、同一顧客が異なるIDで複数登録されるなど、名寄せの問題が発生しやすくなります。このようなデータの不整合は、営業活動や分析業務の精度を大きく損ないます。

そのため、マスターデータはひとつのシステムで一元管理し、他システムへはそこから配信する構成にすることが基本です。一元管理のルールを徹底することで、データ品質を維持し、信頼性の高い情報基盤を構築できます。

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連携基盤を一元化して運用負荷と障害リスクを抑える

連携方式がシステムごとに統一されていない場合、運用面で大きな課題が生じます。たとえば、あるシステムはCSVでの手動連携、別のシステムは個別開発のAPI、さらに別ではRPAなど、連携方式が統一されていない環境では、障害発生時の切り分けが困難になります。また、特定の担当者しか仕組みを理解していない「ブラックボックス化」も起こりやすく、属人化のリスクが高まります。

こうした属人化やブラックボックス化を防ぐためには、連携処理をひとつの基盤に集約し、監視やログ管理、エラーハンドリングを統一することが重要です。結果として、運用負荷の大幅な軽減と安定性の向上を同時に実現できます。

まとめ

Salesforceを中心とした業務システム連携では、単発のAPI接続や手動運用ではなく、複数システムにまたがるデータ整合性を継続的に保てる仕組みを構築することが大切です。複数のシステムを接続・管理できるプラットフォームであるiPaaSの利用は、その代表的な手段といえます。

iPaaSのひとつであるIBM webMethods Hybrid Integrationは、Salesforceをはじめとする主要SaaSやオンプレミスの基幹システムと柔軟に接続できる統合プラットフォームです。API連携やデータ同期、ワークフロー自動化を一元的に管理し、ビジネスプロセスの自動化を強力に支援します。連携先が増えても基盤を統一しておくことで拡張性と保守性を両立でき、情報システム部門の負担を抑えながら業務全体の最適化を実現できます。

webMethodsの強み

なかでもwebMethodsの強みは、リアルタイム連携とバッチ処理を同一基盤で扱える柔軟性と、ローコードで連携フローを設計・運用できる操作性にあります。外部SIerに依存せず情報システム部門が自ら連携を構築・変更できるため、Salesforce連携で起きやすい属人化やブラックボックス化のリスクを抑えられます。さらに、IBMメインフレームを含むレガシーシステムへの豊富なコネクタを備えているため、レガシー資産を抱える中堅〜大手企業でも、二重管理・更新タイムラグ・個別開発が招く連携構成の複雑化を段階的に解消できます。

webMethods導入後は、見積〜受注のリードタイム短縮、問い合わせ対応の即応化、データに基づく経営判断の迅速化といった効果が、実際の業務で得られるようになります。導入効果や選定基準をより詳しくご確認いただけるよう、社内の比較検討に活用できるホワイトペーパーもあわせてご用意しています。

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